よくある賃貸トラブルFAQ 契約・トラブル関連 学生の部屋探し


入居中のトラブル
     

1 騒音問題
2 入居者以外の立入
3 入居者以外の宿泊
4 長期不在
5 同棲
6 ペット飼育
7 ゴミ処理
8 家賃の滞納
9 家賃の値上げ
10 共用部分の問題
11 設備の故障
12 庭木
13 家主からの退去通告
14 物件の競売
15 家主の交代
16 居住以外での使用
17 事故・いたずら
18 空き巣被害
19 不動産業者のミスによるトラブル
20 共益費に関するトラブル
21 
 契約期間中の途中解約
22  契約名義人の変更
23   他の入居者との家賃の違い
24   入居者の死亡
1.        騒音問題

(1)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないのだが、解決する方法はないか?

(2)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないので、管理会社に苦情を申し入れたが、「多少の騒音はお互い様」と言ってまともに取り合ってくれない。何とか、解決する方法はないか?

(3)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないので、管理会社に苦情を申し入れたところ、隣人に警告したらしいが、かえって騒音が増加している。根本的に、解決する方法はないか?

(4)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないので、直接隣人に苦情を言ったが、「お互い様だから仕方ないだろう」と言われてしまった。何か、解決する方法はないか?

(5)隣の部屋から、夜中にマージャンしているような音が聞こえてくる。マージャンは禁止されているので管理会社に苦情を言ったが、「調査する」と言ったきり、いつまでたっても解決されない。何とか解決する方法はないか?

(6)隣の部屋から、深夜に洗濯するような音が聞こえてくる。うるさくて眠れないので、管理会社に苦情を申し入れたが、「生活騒音はお互い我慢が必要」と言われた。我慢するしかないのか?

(7)上階から、子供が走り回る音が聞こえてくる。ファミリーマンションなのである程度の騒音は仕方ないと思うが、我慢の限度を超えてしょっちゅう走り回っている。騒音が直らないようなら、上階の人に退去してもらいたいのだが、可能か?

(8)上階から、子供が走り回る音が聞こえてくるので、上階の人に直接苦情を申し入れたところ、「申し訳ありません。静かにさせます」と謝るが、実際にはいっこうに騒音が収まる気配がない。何かよい対策はないか?

(9)上階から、子供が走り回る音が聞こえてくるので、上階の人に直接苦情を申し入れたところ、「子供が走るのはある程度仕方のないこと。それに騒音が聞こえるのはフローリングなのでどうしようもない」と突っぱねられた。何かよい対策はないか?


2.        入居者以外の立入

(1)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「入居者以外立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

(2)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「異性の人は管理上立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

(3)契約書には確かに「入居者以外の立ち入り禁止」という記載はあったが、友人と一緒に部屋に入ろうとしたら、管理人が「入居者以外は立ち退いてくれ」と強行に追い出してしまった。管理会社に苦情を申し立てたが、「契約書に書いてある通りだ」として埒があかない。このままでは友人を失いかねない。何とかよい対策はないのか?


3.        入居者以外の宿泊

(1)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「入居者以外は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

(2)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「同性の友人ならよいが、異性の友人は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

(3)契約書には、確かに「入居者以外の宿泊禁止」という記載があったが、友人が宿泊しているところを家主に見つかってしまった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と強行に主張している。何とか住み続ける方法はないものか?

(4)契約書には、確かに「家主の承諾を得ずに入居者以外の宿泊はしてはならない」という記載があったが、無断で友人を宿泊させていたところ、家主に見つかり、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われてしまった。友人を泊めるのにいちいち家主の承諾を得なければならないということ自体納得できないが、家主に従うしかないのか?

(5)契約書には、契約者以外の宿泊に関しての記載は一切なかったので、夏休みで留守をする間、友人に貸していたところ、家主に見つかり、「無断で貸していたので契約違反であり、違約金を支払って即刻退去せよ」と言ってきた。友人は何も悪いことはしていないので納得できないが、家主の主張に合理性はあるのか?


4.        長期不在

(1)契約書には特別な規定がなかったので、家主に断ることなく、長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反である」と言われたという。家主だけでなく実家からも厳しい叱責を受けたが、契約書に書いていないので納得できないのだが‥。

(2)契約書には「1ヶ月以上の長期不在となる場合には、家主への通告が必要」となっていたが、家主には連絡せずに長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反であるので退去してもらう」と言われ、荷物を引き上げてきたという。契約違反は事実だとしても行き過ぎだと思うのだが、家主に損害賠償請求をすることはできないのか?


5.        同棲

(1)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「契約違反なので出て行け」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

(2)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「同棲するなら家賃と共益費、敷金をアップさせる」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

(3)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」として、実家に通報されてしまい、住まいを引き上げることになってしまった。家主に損害賠償を請求したいのだが、可能か?

(4)契約書には「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」と勘違いされ、「違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。対抗するにはどうすればよいか?

(5)契約書には、確かに「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が1泊しただけなのに、家主から「同棲している」ということで、「敷金没収、違約金家賃3か月分を支払って退去せよ」というような請求されてしまった。契約書にこういう規定が載っているのは確かだが、たった1泊だけでこのような厳しい措置をとられるのは納得できないのだが‥。


6.        ペット飼育

(1)「ペット飼育不可」の物件で、室内だけで飼うペット(ハムスター)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

(2)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(猫)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

(3)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(子犬)を室内だけで飼っていたところ、他の入居者に見つかり、家主に通報されてしまった。家主は「契約違反だが、家賃の値上げをすることと、退去時に全面改装する費用負担を承諾すれば飼ってもよい」と言ってきたが、やはり、家主に従うしかないのか?

(4)「ペット飼育不可」の物件でペットを飼っていた。しかし、他の入居者もペットを公然と飼っていたのに、家主から、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。「他の入居者も同じではないか」と反論したが、家主は納得しない。自分だけ退去を命じられるのは納得できないのだが‥。

(5)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類に特に規定はなかったので、小型の室内だけで飼う犬を飼っていたところ、家主から「犬の鳴き声がうるさいという苦情が絶えないので、犬を何とかしてほしい」と言ってきた。「ペット飼育可ではないか?」と反論したが、家主は聞き入れてくれない。何かよい対策はないか?

(6)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類や数に特に規定はなかったので、数種類のペットを飼っていたところ、家主から「ペットの数が多すぎて、臭いもきつい。ペットの数を1種類だけにしなければ退去してもらう」と言われたが、家主に従うしかないのか?

(7)「ペット飼育可」の物件だが、ペットに子供が生まれてしまった。それが家主の知るところとなり、家主から「ペットは1匹のみしか認めないと契約書にも書いている。すぐに処分せよ」と言ってきた。小さなペットの子供を処分してしまうのはかわいそうなので、何とかペットを守ってやりたいのだが、何かよい方法はないか?

(8)突然、管理会社より「ペット飼育可能なマンションにします」との通知がきた。現在入居している殆どの住民は、この件について反対しており、管理会社に連絡を取ったが、こちらの言い分は全く聞いてくれない。どうすればよいか?


7.        ゴミ処理

(1)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「ゴミ回収は入居者同士で話し合って解決してほしい」と言って取り合ってくれない。今は、入居者の有志で後始末をしているが、何とかならないものか?

(2)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、特定の人なので、家主から警告してもらったが、それでもルールを守らないために、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「本人には警告しており、本人も努力すると言っているが直らない」と言うばかり。何とかならないものか?

(3)自治体のゴミ回収ではなく、業者による毎日回収をしているが、毎月「ゴミ回収代」として費用を請求される。自治体なら無料なので、入居者が費用を負担するのは納得できないのだが‥。

(4)業者のゴミ回収が夜中に行われるため、騒音で起こされてしまう。管理会社に苦情を申し入れたが、「回収ルートと時間が決まっているので我慢してもらうしかない」と言われた。何とかならないのか?


8.        家賃の滞納

(1)契約書には「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」と書いていたが、うっかりして家賃を1か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

(2)契約書には「家賃を3ヶ月分以上滞納すれば即刻退去させる」と書かれていたが、うっかりして家賃を3か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

(3)契約書には「家賃を1日でも滞納すれば、年利30%の滞納補償金および滞納手数料5000円を支払うこととする」と書いていたが、うっかりして家賃を所定の期日に振り込まなかったところ、管理会社から、「契約違反なので、滞納補償金と手数料を請求する」と言われた。契約書に明記されていたら、従わざるを得ないのか?


9.        家賃の値上げ

(1)契約期間中に、家主から「3ヵ月後の家賃から値上げする」という通告が来た。契約書には、「家賃の値上げを行う場合には3ヶ月前に通告する」となっていたものの、一方的な値上げであっても、契約書にあれば従わざるを得ないのか?


10.    共用部分の問題

(1)家主から、「共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書にそういうことは明記されていないが、家主からの通告には従わざるを得ないのか?

(2)家主から、突然「来月より共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書に確かに明記されているが、契約書に記載があれば従わざるを得ないのか?

(3)共用部分の照明が夜遅くなると消されてしまい、深夜に帰宅することが多いので、暗くて防犯上も問題だと思う。家主に照明を付けるように言ったが、「共益費が安いので無理。どうしてもと言うのなら、共益費を値上げするが、他の人にはあなたのせいだと言ってもよいのか?」と言われた。どうすればよいのか?

(4)共用部分に荷物を置きっぱなしにしている人がおり、悪戯で火でも付けられたりしたら困るので、管理会社に注意を求めたが、掲示板に警告文を張るだけで、いつまでも同じ状態が続いている。歩きにくく危険でもあるので何とかしてほしいのだが、どうすればよいか?


11.    設備の故障

(1)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。契約書に記載されている以上、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

(2)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。仕方なく、修繕費用を支払ったが、家主に支払ってもらうことはできないのか?

(3)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には何も記載されていないのに、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。このような場合でも、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

(4)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンはサービスで付けているので、修繕費用までは負担できないと言ってきた。家主の主張に道理があるのか?

(5)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンは前の入居者が付けたものなので、修繕費用の負担はできないと言ってきた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

(6)入居後、雨漏りがするのに気づき、家主に修繕を求めたところ、「半額負担してほしい」と言ってきた。おかしいと思うのだが、家主の主張に従う必要があるのか?

(7)築後30年以上する建物だったが、雨漏りはするわ、建具はがたついておりまともに開け閉めできないわ、給湯器もよく故障しがち、トイレの水もよく流れないなど、あまりにもひどい状態だった。そこで、家主に「ちゃんと生活できるようにすべての部分を修繕せよ」と迫ったところ、家主の弁護士と名乗る人から、「修繕費用が高額になるので負担できない。いやなら礼金・敷金も含めて全額返すので退去してほしい」と言ってきた。家賃が安く住み続けたいが、修繕もしてもらいたい。こちらの主張を通すのは難しいか?

(8)水道の水の出があまりにも悪いので、家主に改善を求めたところ、家主は「行政の水道課にも改善を申し入れたが、改善は難しいと言われた。それに、建物が古いので水の出が悪いのはある程度は仕方ないこと」と言ってまともに取り合ってくれない。きちんと使えるようにするには、どのようにしたらよいでしょうか?

  


12.    庭木

(1)一戸建てを借りているが、家主から、「庭木の剪定は借りている期間中は借主負担である」と言ってきた。庭木には興味がなく、なくしてほしいくらいだが、剪定費用まで請求されるのはおかしいと思うのだが、家主の主張どおりに負担せざるを得ないのか?

(2)一戸建てを借りているが、庭木には興味がなく、邪魔になったので、自分で邪魔な部分を切っていたら、家主から「勝手に切ることは許さない。損害賠償してもらう」と言ってきた。家主の主張どおり、損害賠償に応じざるを得ないのか?


13.    家主からの退去通告

(1)家主が「自分が住むことになったので退去してほしい」と言ってきたが、従わざるを得ないのか?

(2)契約書には、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」と記載されていたが、実際に、家主から「自分の息子夫婦が住むこととなったので、契約どおり退去してほしい」と言ってきた。契約書に記載されている以上、従わざるを得ないのか?

(3)家主から、「建物が古く取り壊すので退去してほしい」と言ってきた。家主は「退去してもらうための正当事由がある」と言っているが、正当事由があるので立退き料も出さないと言っている。泣く泣く退去するしかないのか?

(4)家主が退去通告をしてきたが、「敷金を全額返却する代わりに立退き料は出さない」と言ってきた。従わざるを得ないのか?

(5)分譲マンションの一室を賃貸で借りていましたが、家主が「売却するから退去してほしい」と言ってきました。契約期間はまだ残っているのですが、このような場合、引越し代や立退き料はもらえるものでしょうか?また、エアコンを取り付けましたのですが、置いていくか、買取してもらうことはできるのでしょうか?

14.    物件の競売

(1)住んでいる物件の家主が破産し、物件が競売された。新しい家主から、「退去してほしい。立退き料は一切出さないし、敷金返還もない」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?

(2)住んでいる物件の家主が倒産し、物件が競売された。新しい家主から、「あなたの契約は競売開始手続き(差押登記)後の契約なので短期賃貸借の保護もないので、即刻退去せよ」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?


15.    家主の交代

(1)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「私は敷金を受け取っていないので、敷金を納めてほしい」と言ってきた。こういう場合、敷金を再度支払わなければならないのか?

(2)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「契約書を変更し、家賃も値上げするので、同意できなければ退去してくれ」と言ってきた。こういう場合、新たな家主の主張に従わざるを得ないのか?


16.    居住以外での使用

(1)居住用で借りている物件だが、今度独立することになり、自宅兼事務所として使用したいので管理会社に申し出たが、「事務所として使用するなら退去してもらう」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

(2)居住用で借りている物件だが、室内で英会話教室を開くことになり、管理会社に申し出たところ、「業務としての利用はできない」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

(3)居住用で借りている物件だが、内職を行っていたところ、家主から、「居住用として貸しているのであって、仕事を持ち込むなら退去してもらう」と言われてしまった。家主の主張に従うしかないのか?

(4)アパートの隣の部屋が、突然事務所に改装されたが、元通りにさせることはできないか?



17.    事故・いたずら

(1)上階からの水漏れで、壁のクロスを張り替えることになったが、家電製品にも水がかかり調子が悪くなった。上階の入居者の不始末であることははっきりしているので、上階の人に損害賠償請求したいのだが、可能か?

(2)上階からの水漏れで、壁のクロスを張り替えることになったが、家電製品にも水がかかり調子が悪くなった。しかし、原因がはっきりせず、上階の人の責任であるかどうかもはっきりしない。このような場合、誰に対して損害賠償請求することができるのか?それとも誰にも請求できないのか?

(3)上階からの水漏れで、壁のクロスを張り替えることになったが、家電製品にも水がかかり調子が悪くなった。水漏れは上階の浴室からのようだが、上階の入居者の言い分では「入居したてであり、ふつうに入浴していただけだ」とのこと。このような場合、誰に対して損害賠償請求することができるのか?それとも誰にも請求できないのか?

(4)上階の火災により、消火の水で水浸しになってしまった。上階の人の責任なので、使えなくなった期間の宿泊代や使えなくなった家財道具類の損害賠償を求めたいのだが、可能か?

(5)何者かによって玄関のドアに傷をつけられてしまったが、管理会社より,ドアの交換代を請求されてしまった.このような場合,借主が費用を負担しなければいけないのか?
18.    空き巣被害

(1)ピッキングによって空き巣に入られた。警察によれば、ピッキングに遭いやすいカギだということだったので、損害賠償を家主に求めたいが可能か?

(2)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいカギへの交換を求めたが、「自分の費用で代えるのならかまわない」と言われた。家主は費用を負担する義務はないのか?

(3)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいかぎへの交換を求めたが、「管理上、別のカギに変えるわけには行かないし、借主が費用負担しても代えることはできない」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

(4)窓ガラスを破られ空き巣に入られたが、幸いにも被害はなかった。しかし、家主に、窓ガラスの取替えを求めたら、「家主の過失で空き巣が入ったわけではないので、自分で負担せよ」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

19  不動産業者のミスによるトラブル

(1)マンションと付属の駐車場を借りて、会社からの補助は賃料の7割を受けていましたが、再度の転勤により退去の手続きをしたところ、不動産会社のミスで駐車場代の請求をし忘れていたことが判明しました。しかし、勤務先へでは1年間分遡って補助申請することはできないと言われました。本来なら補助対象であった駐車場代を、1年間分まとめて満額支払うように要求されています。不動産会社のミスで、結果的には駐車場代分の補助を受けることができなくなったのですが、この場合でも満額支払う必要があるのでしょうか?

20  共益費に関するトラブル

(1)電気代や水道料が高く、管理会社が手数料を上乗せ請求しているが、何とか適正な請求に変更してもらいたいのだが…。

21 契約期間中の途中解約

(1)「学生専用マンション」に住んでいるが、契約途中で解約を申し入れたところ、家主から、「途中解約はできないので契約期間終了までの家賃を支払え」と言われた。確かに、契約書には、そのように記載されているが、これは消費者契約法に反する条項なので無効ではないか? 

(2)賃貸借契約に明記されている通りに退去を申し出たところ、「学生の入居時期からはずれているので、今すぐ退去するか損失となる半年分の家賃を支払え」と言われた。このような場合、家主の主張に従わざるを得ないのか?

22 契約名義人の変更

(1)家賃補助の関係で、会社名義で賃貸マンションに入居していたが、家賃補助制度の廃止により、個人名義に変更しなければならなくなった。これに対し、不動産会社は、契約者変更になるため、敷金・礼金、契約時手数料(1ヶ月分)を要求してきた。不動産業者の言うとおりに支払う義務はあるか?

23 他の入居者との家賃の違い

(1)住んでいる物件の他の部屋の入居者募集がが数千円安くなっていた。そこで、管理会社に、家賃減額をお願いしたら、「いやなら退去してもよい」と言われてしまった。何とか、家賃減額を勝ち取る方法はないか?

24 入居者の死亡

(1)先日借家で一人暮らしをしていた祖母が亡くなると大家さんの態度は急変し、敷金の返還はもちろん拒否し、遺族が1〜2年家賃を払い続けてほしい・・・と言うのだが、そこまでしないといけないのか?


1.        騒音問題

(1)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないのだが、解決する方法はないか?

→  入居直後に発覚した「騒音問題」と入居後しばらく経過後にわかった「騒音問題」を比較すると、入居直後の場合には、場合によっては契約を解除することもしやすいのに対して、しばらく経過してからは、契約の解除は借主の都合とされてしまう可能性が大きく、結果的に解決がより難しい問題だといえます。
  隣室などからの生活騒音についても、入居直後よりも、生活に慣れだした頃に気になるケースが多いようです。
 それは、お互いに、入居直後は騒音を出さないように意識していた場合でも、だんだんと慣れてくるに従い、自ら出す音にも無頓着になってくる傾向があるからです。
 たとえば、ステレオの音なども、最初は小さくしていても、だんだんと大きな音を出したくなり、ひどい場合には、「どれくらいの大きな音を出せば苦情を言ってくるだろう」というように「実験」する人もいるのです。

  相談にある「会話する声」や電話の声も、そのような類のものだと思います。
  問題なのは、「会話する声」などの生活騒音については、賃貸共同住宅では、非常に解決が難しいということです。
  解決が難しい理由は、まず、賃貸共同住宅の構造にあります。
  賃貸物件は、分譲物件に比較すると、設計上(コスト上)、壁の厚さなどの構造のレベルが低い場合が多く、分譲物件に比較すると、どうしても音が聞こえやすいという問題があります。
  次の問題は、共同住宅には、ある程度の範囲内の生活騒音については、「受忍限度」があるということです。
 つまり、お互いに、ある程度の騒音が我慢しましょうということです。

  従って、騒音問題にクレームをつけるには、「受忍限度」を上回っているということを証明しなければならないということになるのです。
  三つ目の問題は、「受忍限度」そのものが、かなり高いレベルに設定されていることです。
  入居直後の「騒音」問題の項でも触れているように、もともと、建築基準法で定められている壁の「基準」自体が、騒音が聞こえても当然のレベルでも「オーケー」とされているのです。
  たとえば、隣室で大きな声(80デシベル)で話した場合でも、55デシベル程度(ふつうの会話)に聞こえたとしても、法律上は問題なしとされているのです。
  そして、四つ目は、仮に、受忍限度を超えていることが確実だと思える場合でも、それを立証するには、「被害者の証言」では意味をなさず、専門家(専門機関)による客観的な測定が必要であるため、手間と大きな費用がかかってしまうということです。
  結局、以上のことから、隣室からの生活騒音については、なかなか簡単には解決しないのです。
  そこで、具体的な対策としては、以下の方法をいくつか実行することになります。
  まず、できるだけ隣人と仲良くなるように努力することです。
  ある実験データからも、同じレベルの騒音であっても、見知らぬ人からの騒音に比較すると、知り合いが出す騒音ははるかに我慢しやすい(気にならない)ということが証明されています。
 それに、知り合いになれば、「お互いに騒音には気をつけましょう」というようなことも言いやすくなるでしょう。

  それが不可能であるなら、家主や管理会社に対して、騒音の苦情を述べることですが、被害者からの申告であるということをわからないように、まずは、一般的な警告文を共用玄関などに張ってもらうという方法をとります。
  それでも、まったく効果がない場合には、家主や管理会社から、加害者に直接苦情を言ってもらうことですが、そのためには、家主や管理会社の人に、騒音をきちんと確認してもらう必要があります。
 そうでないと、家主や管理会社も、自信を持って苦情を伝えられず、ひどい場合には、「隣人から苦情があるので言いに来た」という逃げを打つこともあり、かえって騒音被害をこじらせるケースもあるからです。

  家主や管理会社から苦情を言っても、まったく効果がない場合には、家主から、加害者の連帯保証人に対して、「騒音の加害者に対して生活習慣を改めるように」という注意分を送ってもらうことです。(ただし、この方法は効果がある場合と逆効果となる場合もありますので、加害者の性格などを見極めたうえで判断しなければなりません)
  次は、直接、加害者に対して、「騒音が大きいので、お互いに注意しましょう」と呼びかけてみることです。
  この場合、たとえば、被害者が女性で、加害者が男性の場合、被害者の友人(男性)などといっしょに話に行った方が安全です。
 同行する男性は、加害者のタイプによって、法律の専門家風、体育会系などを選択したほうがより効果的(?)かもしれません。

  その次は、同じ物件に住む住民に呼びかけて、連名で「騒音被害を何とかせよ。どうしても解決してくれない場合には、法的手段をとることもありうる」というような文書を家主に突きつけ、家主に解決を迫ることです。
  家主としても、一人の被害者からの苦情申し出だと半分聞き流す可能性があっても、大勢の入居者が連名で苦情を申し出てきたような場合には、真剣に対策を講じようとする可能性が大きいと思います。
  それでも、依然として、騒音被害がやまないのであれば、最終的な判断を行うことになるでしょう。
 つまり、自主的に退去するか、我慢して住みつづけるのかということです。 

  退去を覚悟するような場合には、家主に対して、次のような最後通告を突きつけるという方法もあります(あまりお勧めできるものではありませんが‥)
  「家主には、入居者が安全快適に生活を送れるようにする義務があるので、騒音被害を何とかしてほしい。どうしても解決できないというのなら退去せざるを得ないが、それに関わる損害賠償を請求させてもらいます」
  我慢して住み続ける場合も、加害者の騒音に業を煮やし、被害者自らが他の入居者に呼びかけてわざと騒音を出し、家主としても動かざるを得ないように仕向け、とうとう加害者を退去させたという猛者もいます。(これもお勧めの方法というわけではありませんが‥)

(2)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないので、管理会社に苦情を申し入れたが、「多少の騒音はお互い様」と言ってまともに取り合ってくれない。何とか、解決する方法はないか?

→  管理会社は、家主の代理人としての業務を果たす必要があります。
  家主には、入居者が安全快適に生活できるようにする義務がありますので、騒音がひどければ、解決に努力する義務があるといえます。
  そこで、問題となるのは、騒音レベルが、「多少の騒音」といえるレベルかどうかの見極めです。
  しかし、実際に、騒音レベルを測定するのは難しく、コストも多額に必要となるので、騒音レベルの測定を行うのではなく、家主あるいは管理会社の人に、騒音の実際状況を確認してもらうように要請するのです。
  そして、家主あるいは管理会社の人の口から、「たしかにこれでは騒音が激しいことがわかった(ので何とか対処する)」と言わせるようにするのです。
  それ以外の対策としては、前項を参考にしてください。

(3)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないので、管理会社に苦情を申し入れたところ、隣人に警告したらしいが、かえって騒音が増加している。根本的に、解決する方法はないか?

→  前々項の対策で述べたように、家主や管理会社の人から隣人へ警告する場合、家主や管理会社の人が直接騒音を確認していない場合、加害者との話し合いの中で、加害者が「騒音は出していない。誰が苦情を言っているのか?」と問い詰めた場合、「隣人からだ」と言ってしまう可能性があります。
  そうなると、加害者に対する警告の迫力もまったくなくなるばかりでなく、隣人である被害者に対する憎悪が増すだけに終わってしまう場合もあるのです。
 それでは逆効果になってしまうのは火を見るよりも明らかでしょう。

  従って、家主や管理会社の人が、加害者に警告を発する場合には、かならず、家主や管理会社の人が実際の被害状況を確認しておき、自らの意見としても「これはひどい」という状況の確認を行い、そして、被害が出ている時に、加害者に警告するのが最も効果的なのです。
  しかし、騒音問題は、深夜に発生することが多く、家主や管理会社に「来てくれ」と言っても来てくれないケースも多いので、次善の策としては、騒音が出ている状況を録音しておき、家主や管理会社の人に実際に聞いてもらうようにするという方法をとらざるを得ないかもしれません。
  いずれにしても、騒音状況をまったく確認せずに、加害者に警告するというようなことだけは避けなければなりません。
  ただ、今回の相談では、すでに隣人に警告を発したところが、かえって騒音が増えてしまったということですので、その後の対策を考えなければなりません。
  その後の対策としては、他の入居者との連名での家主への要請文の送付、家主からの加害者の連帯保証人に対する要請、そして最終的な決断ということになりますが、詳しくは前々項をご覧ください。

(4)隣の部屋から、会話する声がよく聞こえてくる。気になって仕方ないので、直接隣人に苦情を言ったが、「お互い様だから仕方ないだろう」と言われてしまった。何か、解決する方法はないか?

→  確かに、賃貸共同住宅では、騒音については、ある程度までは「お互  い様」です。
  しかし、本当に「お互い様」と考えている人は、「だから仕方ない」とは考えないでしょう。
 ふつうは、「騒音はある程度お互いさまですが、これからは気をつけます」と言うでしょう。それを「仕方ない」という風に理解しているということは、騒音が出ることは「仕方ない」と考えているだけで、何ら対策を講じようとはしていないということです。

  従って、まったく加害者意識もなく、対策を講じようとしない人ですので、家主や管理会社の人に、騒音状況をきちんと確認してもらった上で、家主や管理会社サイドから、「自分でも確認したが、騒音がひどいので、すぐに騒音をやめるよう」に強く言ってもらうようにしなければなりません。
  それでも、まったく効果がないようであれば、この騒音の相談コーナーの初めにある項目に記載している対策をご検討ください。

(5)隣の部屋から、夜中にマージャンしているような音が聞こえてくる。マージャンは禁止されているので管理会社に苦情を言ったが、「調査する」と言ったきり、いつまでたっても解決されない。何とか解決する方法はないか?

→  まず、管理会社にいつ調査したのかを確認しなければなりません。
 そして、まだ調査していないような場合には、すぐに調査を行うように強く要請してください。

  管理会社がすぐに対応しないのであれば、家主に対して、「管理会社は入居者の苦情にまともに対処しない。ルールを守らずマージャンをやる人がいるので、家主自ら調査の上で、ルールを守るように警告してほしい」というように要請してください。
  それでも、管理会社や家主がきちんと対応しないようであれば、この騒音の相談コーナーの初めにある項目に記載している対策をご検討ください。

(6)隣の部屋から、深夜に洗濯するような音が聞こえてくる。うるさくて眠れないので、管理会社に苦情を申し入れたが、「生活騒音はお互い我慢が必要」と言われた。我慢するしかないのか?

→  確かに、生活騒音はある程度の我慢が必要ですが、それは日中のことです。
 騒音規制の基準値でも、深夜のほうが日中よりも厳しい基準値となっているのも、理由があることです。
 
騒音源が多いのに、動く生活をしている人が多く、しかも、騒音が伝わりにくい日中に比較して、深夜は、騒音源も少なく、寝ている人が多い上に、騒音が伝わりやすいのです。
 従って、深夜に洗濯を行うというのは、「生活騒音」とは言えず、本来、深夜においては洗濯を行うという行為自体が問題だと思います。

  また、洗濯自体が室内で行われているのか、ベランダなどの外部で行われているのかの違いも重要です。
 もし、騒音が出やすいベランダで洗濯を行うのであれば、必ず日中に行うべきです。

  いずれにしても、管理会社に、きちんとした対処を要請しなければなりませんが、それでも、管理会社がきちんとした対応をしないようであれば、直接本人に注意したり、家主を通じて注意したりするというような方法をとらなければならないでしょう。
  それ以外の方法は、この騒音に関する相談コーナーの最初の項目で触れた対策をご覧ください。

(7)上階から、子供が走り回る音が聞こえてくる。ファミリーマンションなのである程度の騒音は仕方ないと思うが、我慢の限度を超えてしょっちゅう走り回っている。騒音が直らないようなら、上階の人に退去してもらいたいのだが、可能か?

→  まず、「我慢の限度を超えている」というのが客観的に証明できるものなのかどうかをはっきりさせなければなりません。
  というのは、被害者の意識として「限度を超えている」といっても、加害者に退去を求めるほどの被害状況であるかどうかは、「被害者の証言」では証拠とはなり得ないからです。
  客観的な証拠が得られない場合には、家主や管理会社の人に現場の状況を確認してもらい、その人たちの口から「これは確かにひどすぎる。限度を超えているのは確かであるので、加害者の行動を改めてもらえるように強く申し入れます」というように言ってもらわなければなりません。
  また、上階の人の騒音がどこから発生しているのかを確認し、もし、その部分がフローリングなどである場合には、フローリングの上にカーペットなどを敷くなどして、騒音が伝わりにくくするような方法をとってもらうことも考えなければならないでしょう。
  一方、家主や管理会社の人が現場確認しても、「この程度は我慢してもらうしかない」というような場合には、通常は、我慢するしか方法がないでしょう。
  それでも我慢できないというのであれば、手間と費用がかかりますが、騒音測定を専門機関に委託し、客観的な証拠として、「限度を超えている」かどうかを確認しなければなりません。
  しかし、測定結果として、確かに「限度を超えていた」としても、すぐに上階の人を退去させられるかといえば、簡単にはいきません。
  このような場合、家主が同意して、家主の立場から退去を求めるのであれば交渉次第ですが、加害者とは法的関係にない被害者が、直接加害者を相手取って、退去を求めるという訴訟は非常に難しく、多大なコストを覚悟しなければなりませんので、そこまで深刻になるようであれば、自ら退去して他の物件に移動するほうがよりよい選択だと思われます。

(8)上階から、子供が走り回る音が聞こえてくるので、上階の人に直接苦情を申し入れたところ、「申し訳ありません。静かにさせます」と謝るが、実際にはいっこうに騒音が収まる気配がない。何かよい対策はないか?

→  加害者が「罪」を認め、一応の謝罪を行っていながら、実際には、何ら状況が解決しないというようなケースですが、加害者が「罪」を認めない場合よりも、対策を立てにくい場合がよくあります。
  しかし、一応は謝罪しているわけですから、自らの問題点については反省しているはずですので、実際にどのような対策をとっているのかをきちんと確認してください。
  もし、「子供に走り回らないように注意している」というような対策しか行っていなかったとすれば、子供の自然な行動を抑止しようとしているわけですから、どうしても無理があります。
  それに、建物の構造上の問題から、騒音が発生しやすいケースも多いので、上階の床の状況を確認し、フローリングなど騒音が出やすい構造である場合には、その上にカーペットなど騒音を出しにくいものを敷くなどして、子供が多少走り回ったとしても、騒音が伝わりにくい構造になるようにしてもらうほうがよいでしょう。
  そのような対策を施してもいっこうに騒音がなくならないような場合には、上階の人と話し合い、「子供たちに走り回るなとは言わないので、走り回ってもよい時間帯と絶対に走り回らない時間帯に分けてもらえないか?その代わり、走り回らない時間帯は、厳しくしつけしてほしい」というような妥協策を持ちかけてはどうでしょうか?
  それ以外の対策としては、騒音に関する相談コーナーの最初の項目にある対策をご検討ください。

(9)上階から、子供が走り回る音が聞こえてくるので、上階の人に直接苦情を申し入れたところ、「子供が走るのはある程度仕方のないこと。それに騒音が聞こえるのはフローリングなのでどうしようもない」と突っぱねられた。何かよい対策はないか?

→  確かに、子供が走り回るのはある程度は仕方ないことです。
 それに、フローリングであれば、音が伝わりやすいため、ある程度の騒音が出ること自体は避けられないことです。

  しかし、だからと言って、「どうしようもない」というわけではありません。
  賃貸共同住宅では、お互いに、ある程度の騒音については我慢しあうことが必要ですが、それには、「受忍限度」というものがあります。
 つまり、受忍限度を超えても、「どうしようもない」というわけではないのです。

  そこで、実際の騒音レベルが、受忍限度を超えているかどうかを調査する必要があるわけですが、実際の調査となれば、多額の費用と手間がかかってしまいます。
  そのため、実際の調査に代わるものとして、家主あるいは管理会社の人に現場の騒音状況を確認してもらい、それらの人の口から「確かにこれでは騒音がひどすぎることがわかった。上階の人に改善するように強く申し入れます」というように言ってもらうようにするのです。
  しかし、家主や管理会社の人が現場確認に来るのを拒むようであれば、仕方ありませんので、次善の策として、騒音が出ているときの状況を録音し、家主などに聞いてもらうという方法を取らざるを得ないでしょう。(できるだけ現場の生の音を聞いてもらわないと、録音ではなかなか現場の状況は伝わりません)
  いずれにしても、家主や管理会社の人から、加害者である上階の人に交渉してもらうことが必要でしょう。
  それでもうまく行かないような場合には、騒音問題に関する相談コーナーの最初の項目で触れたさまざまな対策を検討してみてください。


2.        入居者以外の立入

(1)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「入居者以外立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

→  家主、そして家主の代理人としての管理人には、入居者が安全快適に生活できるようにする義務があります。
 通常は、その安全快適に生活できるようにするために、不審者が建物内に入ろうとするのをチェックするのが、管理人の役目ということになります。

  しかし、入居者の友人であれば、「不審者」でないことははっきりしていますので、その友人が、入居者を訪ねることを阻止する権限などはあるはずはないのです。
 警察権力ですら、私人の行動を勝手に阻止することなど許されていないわけですから、管理人の行動がいかに異常なものかわかるでしょう。

  一般的に、「入居者立ち入り禁止」というのは、建物と入居者の安全管理上、不審者の出入りを抑制するための意味合いで立てられているに過ぎず、友人の出入りを阻止する効力を持つものではありません。
  従って、以上の点について、管理人および家主に対して抗議を行い、二度と同じようなことを行わないように申し入れておいたほうがよいでしょう。
  家主や管理人だからと言って、何も言わなければ、友人などを誰も呼べないさびしい暮らししかできなくなってしまうでしょう。

(2)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「異性の人は管理上立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

→  前項でも述べているように、管理人に友人の出入りを制限する権限などありません。
 それは、異性同性を問わずにです。


(3)契約書には確かに「入居者以外の立ち入り禁止」という記載はあったが、友人と一緒に部屋に入ろうとしたら、管理人が「入居者以外は立ち退いてくれ」と強行に追い出してしまった。管理会社に苦情を申し立てたが、「契約書に書いてある通りだ」として埒があかない。このままでは友人を失いかねない。何とかよい対策はないのか?

→  契約書に「入居者以外の立ち入り禁止」と書かれているような場合、このような特約はどこまで有効なのかということが問題となります。
  一般的には、契約自由の原則によって、公序良俗や借地借家法上の強行規定に反していない限り、どのような特約も可能です(「例文解釈」として定型的な文言どおりに解釈すると不当な取り扱いとなる場合にも特約が否定される場合もあります)が、「入居者以外の立入禁止」という特約自体に合理性があるかどうかがひとつの判断ポイントになります。
  まず、「入居者以外の立入禁止」という特約がどういう意味を表しているのかを確認しなければなりません。
  通常、「入居者以外の立入禁止」という場合でも、入居者の親や親族などが立入できないわけではないでしょう。
 つまり、「入居者」という言葉は、表示上は簡易に表示するために「入居者」としていますが、実際には「入居者および入居者の関係者」という意味を表していると解釈できるのです。

  そして、入居者の友人・知人も、当然ながら、「入居者の関係者」であるわけです。
  従って、「入居者」という言葉が、「入居者および入居者の関係者」を意味するという場合には、このような表示には、入居者の安全性を実現しようという合理性があるといえますが、家主の解釈として、「入居者」=「入居者本人のみ」というのであれば、入居者の家族も立ち入れないということになりますので、このような表示に合理性はないと言えます。
  そのような観点から言えば、管理人および管理会社のとった行動が行き過ぎであることははっきりしています。
  従って、管理人および管理会社に、以上の点から、友人を追っ払ったことについての謝罪と二度と追い出さないようにする旨の言質をもらっておくようにした方がよいでしょう。


3.        入居者以外の宿泊

(1)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「入居者以外は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

→  通常、一般的には、賃貸借契約した本人および家族以外の人が住むことはできません。
 しかし、それは、「住む」ことが禁止されているだけで、数日程度の「宿泊」まで禁止されているわけではありません。

  まして、契約書に記載のない事項についてまで、家主にとやかく言われる筋合いはありません。
  契約者以外の無関係の人が「住む」ことが禁止されているのは、そうした人が住み続けることが許されると、本来の入居者以外の人によってトラブルが発生したり、駐輪駐車スペースが占領されてしまったり、建物そのものもより傷みが激しくなるからであり、その点で合理性があると言えます。
  しかし、単なる数日程度の宿泊であるなら、そのような心配もほとんどありませんし、入居者の利便性を考えると、家主としての受忍限度以内と考えられるのです。
  また、入居者は、家賃を支払って借りている以上、誰を泊めようが、基本的には自由なのです。
 それは、契約者が借りたレンタカーに、誰を同乗させようと契約者の自由であるというのと同じことです。

  家主が、宿泊する人も選別するのは、入居者のプライバシーの侵害に当たるのです。
  従って、家主に対しては、このような観点から、「家主の主張には合理性がなく、法的にも認められない」ということを理解してもらうようにしなければなりません。
 ただし、今後のお付き合いもあるので、「権利」として主張するというよりも、社会常識として考えても友人の宿泊は問題ないのだということを理解してもらえるようにうまく交渉したほうがよいでしょう。


(2)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「同性の友人ならよいが、異性の友人は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

→  前項でも述べているように、友人を宿泊させるのは、入居者の自由です。
 家主として、それを規制する合理的な理由はありません。
 そして、当然ながら、「友人」は、異性・同性を問いません。

  家主が、「同性の友人ならよいが、異性の友人は宿泊できない」と言っているのは、家主自身の古い価値観から言わしめていることでしょうが、それは家主の勝手な価値観であり、自分自身がどのように思っていても自由ですが、その古い価値観を他人に押し付けるのは問題です。
  家主の中には、「自分は実家の親代わりのつもりで接している」という気持ちで、悪気があって、そのように言っているわけではない場合も多いのですが、「親代わり」というのも、実は自分勝手な思いであり、入居者が頼みもしないことでしょう。
  いずれにしても、家主との交渉は、権利を主張するという態度ではなく、現代社会の価値観をうまく納得してもらうように説得するようにしなければならないでしょう。
  それでも、家主が納得しないようであれば、仕方がありませんので、「家主には家主の価値観を押し付ける権限は一切ない」ということをきっぱりと宣言するしかないでしょう。

(3)契約書には、確かに「入居者以外の宿泊禁止」という記載があったが、友人が宿泊しているところを家主に見つかってしまった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と強行に主張している。何とか住み続ける方法はないものか?

→  契約書の特約事項として、「入居者以外の宿泊禁止」という項目がある場合、まず、このような特約の有効性があるのかどうかという問題があります。
 次に、こうした条項はどのように解釈するのが妥当なのかという問題、さらに、契約違反が事実だとした場合、そのペナルティーとしてはどこまでが妥当なのかという問題があります。

  まず、「特約の有効性」ですが、公序良俗に反しておらず、借地借家法の「強行規定」に反していない特約であれば有効ですが、「入居者以外の宿泊禁止」という特約が公序良俗に反しているとは言えませんし、借地借家法上の「強行規定」にも触れていない条項ですので、特約としては有効です。
  次に、特約内容の解釈についてですが、通常、「入居者以外の宿泊禁止」という場合であっても、入居者の家族や親族の宿泊まで禁止するというのは行き過ぎでしょう。
 なぜなら、入居者の家族や親族の宿泊まで禁止しなければならないほどの合理的な理由が見当たらないからです。

  そこで、「入居者以外の宿泊禁止」の合理的な解釈としては、「入居者本人および入居者の関係者以外の宿泊禁止」であるという解釈が成り立ちます。
  しかし、一方で、入居者が自分に無関係の人を宿泊させるということ自体考えられないことですので、「入居者の関係者であれば誰でも宿泊可能」ということであれば、わざわざ特約を定める必要もないはずです。
  従って、これら2つの考え方を総合すれば、「入居者以外の宿泊禁止」の合理的な解釈としては、「入居者および入居者と緊密な関係にある人以外の宿泊禁止」ということで、「関係者」に一定の枠をはめるというのが妥当な解釈だと言えます。
  そうすると、単なる友人の宿泊については、特約によって禁止されていると考えられます。
  そこで、三つ目の問題点が重要となります。
 つまり、友人の宿泊自体は、契約に違反するにしても、だからと言って、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」という家主の主張が認められるかどうかということです。

  一般的に、家主側から入居者に対して退去を求めることが可能になるのは、違反の是正を求めたにもかかわらず、いっこうに是正する姿勢を見せず、ずっと契約違反の状態が続き、最終的に、家主との間の信頼関係が破壊されてしまっているという状態になったときです。
  その点からすれば、家主は、違反の事実を告げただけで、すぐに違約金の支払いと退去を求めており、あまりにも一方的過ぎるといえます。
  従って、友人の宿泊自体が契約違反に当たるとしても、家主の主張が直ちに認められるわけではなく、家主が何度も是正を求めたにもかかわらず、入居者がまったく改めようとしない状態が数ヶ月続いたような場合に初めて、家主の主張が認められることになります。
  結論的には、入居者は、友人の宿泊が契約違反に当たるものかどうかを判断した上で、仮に契約違反に当たるとしても、住み続けることが可能ですし、家主が強硬に主張しても追い出されることはありません。(法的に認められません)

(4)契約書には、確かに「家主の承諾を得ずに入居者以外の宿泊はしてはならない」という記載があったが、無断で友人を宿泊させていたところ、家主に見つかり、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われてしまった。友人を泊めるのにいちいち家主の承諾を得なければならないということ自体納得できないが、家主に従うしかないのか?

→  前項と同じように、まず、特約そのものの有効性を吟味し、その次に、特約の解釈の妥当性、そして、契約違反を前提とした場合のペナルティーについて検討してみましょう。
  まず、特約そのものの有効性ですが、特約は公序良俗に反せず、借地借家法上の「強行規定」に反していなければ有効です。
  この特約によれば、入居者以外が宿泊する場合、いちいち家主の承諾を得なければならないとしており、家主は、当然ながら「否認」する権利をもっていることになりますが、個人のプライバシーに関すること(入居者との関係など)をいちいち家主が吟味し、家主の一存で判断するというのは、封建社会の領主ならともかく、民主社会の常識に反しており、公序良俗に反すると考えられます。
  一方、家主の側からしても、入居者の友人の宿泊に関して、いちいち承諾するかどうかの権利を保有すべき合理的な理由も見当たりません。
  従って、このような特約そのものが無効であると考えられます。
  次に、万一、上記のような解釈が認められない場合でも、入居者の家族や親族が宿泊する場合には、いちいち家主の許可を得る必要はないはずです。
 つまり、「入居者以外」と言っても、前項で述べているように、実際には、「入居者および入居者の身内以外」の意味であると解釈することができます。

  そうすると、友人は、入居者の身内ではありませんので、家主の承諾が必要ということになります。
  ところが、三つ目の問題として、家主の承諾を得なかったからと言って、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」という家主の主張が認められるほどの重大な契約違反であるかどうかがポイントとなりますが、重大な違反とはいえないことは、前項で述べたとおりです。
  従って、本来、特約としても無効と考えられますし、仮にその主張が認められなかったとしても、家主の主張が認められるほどの重大な契約違反とは言えませんので、家主に従う必要もありませんし、法的に退去させられることもありません。

(5)契約書には、契約者以外の宿泊に関しての記載は一切なかったので、夏休みで留守をする間、友人に貸していたところ、家主に見つかり、「無断で貸していたので契約違反であり、違約金を支払って即刻退去せよ」と言ってきた。友人は何も悪いことはしていないので納得できないが、家主の主張に合理性はあるのか?

→  入居者が住んでいるときに友人を宿泊させていた場合には、前項までで触れてきたように、たとえ契約違反に当たるとしても、即刻退去させられるというようなことはありません。
  しかし、「(家主に)無断で貸していた」というのは、無断転貸になります。
 民法第612条1項では、借主が家主の承諾なく無断転貸することを禁止しており、無断転貸した場合には、同条2項で家主は契約解除できると定めています。

  従って、民法上では、無断転貸は契約解除の理由となりますので、借主は退去せざるを得ないということになりますが、機械的に法律を適用すれば、法律を知らない借主にさまざまな事情があっても即刻退去させられてしまいます。 
  そこで、判例においては、「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情のある場合には解除権は発生しない」としているのです。
  つまり、明らかに、家主との信頼関係を裏切るような事情がなければ、家主といえども契約解除はできないとしているのです。
  一般的には、「夏休みの留守中に友人に部屋を貸した」という場合、家主との信頼関係を裏切るほどの事情があったとまでは言えないと思います。
  従って、無断転貸した事実については、家主に対しては謝罪しつつ、即刻退去という要求については、受け入れることはできないということをうまく説得しなければならないでしょう。


4.        長期不在

(1)契約書には特別な規定がなかったので、家主に断ることなく、長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反である」と言われたという。家主だけでなく実家からも厳しい叱責を受けたが、契約書に書いていないので納得できないのだが‥。

→  「長期旅行」の期間が定かではないため、はっきりしたことは言いづらいのですが、一般論で言えば、家主への連絡を一切せず、長期不在をすることは、家主との信頼関係の破壊につながる行為と言わざるを得ません。
  契約書には、長期不在に関する記載がなかったとしても、常識的な判断あるいは善良なる管理者の注意義務の一環として、長期不在となる場合には、家主への連絡が必要だと思われます。
  つまり、無断での長期不在が続けば、契約解除されても仕方がないと思  われます。

(2)契約書には「1ヶ月以上の長期不在となる場合には、家主への通告が必要」となっていたが、家主には連絡せずに長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反であるので退去してもらう」と言われ、荷物を引き上げてきたという。契約違反は事実だとしても行き過ぎだと思うのだが、家主に損害賠償請求をすることはできないのか?

→  契約違反であることに争いはないようなので、問題となるのは荷物の撤去の是非ですが、このような場合には、特約事項として、「借主が無断での長期不在・行方不明などになった場合、連帯保証人は借主の荷物を撤去し明け渡す」というような条項を定めている場合があります。
  連帯保証人に対して、荷物の撤去と明け渡しを行うような特約があれば、家主は契約の特約事項に従って行動したに過ぎませんし、あらかじめ、契約本人、連帯保証人も認めていたことですので、家主に対する損害賠償請求は不可能でしょう。
  しかし、そのような特約がない場合に、連帯保証人から荷物の引き上げを申し出たのか、それとも、家主の強硬姿勢に応じざるを得ず、やむを得ず荷物を引き上げてきたのかで、家主に対する対応が異なるでしょう。
  連帯保証人自ら、「家主さんにご迷惑をかけるので荷物を引き上げる」というように言っていたのであれば、家主に対して、損害賠償追及は難しいでしょう。
  連帯保証人が、家主からの強い要請に応えざるを得ないという形で荷物の引き上げを行った場合には、無断の長期不在期間がどの程度であったかによって、家主との信頼関係が破壊されたかどうかが判断されることになり、それによって、家主の主張が行き過ぎかどうかを判定することになるでしょう。
  常識的な線で言えば、数ヶ月以上にわたる無断の長期旅行が行われ、家賃もその間未払いとなるような場合には、家主との間の信頼関係がなくなったと判断できるのではないでしょうか?
  そこまでいかないような旅行期間であったり、家賃がきちんと支払われていたりするような場合には、信頼関係がなくなったとまでは言えませんので、家主の行動は行き過ぎであり、家主のとった行動に対しては、損害賠償追及が可能になると思います。


5.        同棲

(1)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「契約違反なので出て行け」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

→  まず、家主が「契約違反」という理由を確認しなければならないでし  ょう。
  よくあるのは、契約書に「一人用」、「入居者は1人に限る」というような記載がある場合です。このような場合には、確かに契約違反となります。
  しかし、「契約違反」の事実があるということと、「退去しなければならない」ということは直接結びつけることはできないとされているのです。
  つまり、入居者は、借地借家法や判例でも保護されており、契約違反の事実があったとしても、家主との間の信頼関係が破壊されてしまったというような事情がなければ、家主から契約解除はできないとされているのです。
  契約違反となる事実そのものがなく、家主が、単なる「風紀上の理由」などで退去せよというような場合には、当然のことながら、退去する必要はありません。
  「同棲」が契約違反に当たる場合、家主から、「同棲は契約違反だからやめるよう」に注意を受けておきながら、いくら注意されてもいっこうに態度を改めようとしない期間が数ヶ月以上にわたり、家主との間での信頼関係がなくなってしまったというような場合には、退去しなければならなくなる可能性があります。

(2)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「同棲するなら家賃と共益費、敷金をアップさせる」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

→  ひとりで生活する場合と同棲する場合を比較すると、共用部分を使用する度合いが2倍になるため、共益費は2倍請求されても仕方がないと思います。
  家賃についても、同棲する場合のほうが、建物を使用する度合いが2倍になるため、建物の汚損・破損の進行が早くなるため、その修繕費用アップの裏づけとして、家賃の一定額の増加もやむを得ないでしょう。
  敷金も、家賃と同じ理由から、一定額のアップは仕方がないと思います。

(3)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」として、実家に通報されてしまい、住まいを引き上げることになってしまった。家主に損害賠償を請求したいのだが、可能か?

→  家主が勝手な憶測によって、実家に無断で連絡するなど、入居者のプライバシーを侵害し、結果的に住まいを引き上げざるを得なくなったわけですから、家主の責任は重大だと考えられます。
  家主自身には、悪気があったわけではなく、「親心」から実家に通報したのかもしれませんが、現代社会においては、個人のプライバシーに土足で踏み込んだことになりますので、家主の責任は重大です。
  ただし、「実家に引き上げざるを得なかった」という理由についても、どの程度、入居者本人自身の判断があったのかということについてもチェックが必要です。
  なぜなら、入居者本人自身の判断として、「引き上げ」を選択したのか、それとも、実家からの圧力によって、なくなく「引き上げ」したのかどうかによっても、家主の責任追及についての度合いが変わってくるでしょう。
  家主に対する損害賠償は、現状復帰とそれまでに要した費用の合計額が基準となり、さらに精神的な意味での慰謝料が加わる場合もあるでしょう。

(4)契約書には「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」と勘違いされ、「違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。対抗するにはどうすればよいか?

→  まず、家主に事実関係を正確に理解してもらうことが先決でしょう。
  事情を理解してもらえればよいですが、理解してもらえない場合には、「即刻退去せよ」というような家主の主張については、きっぱりと拒否することが必要でしょう。
  借主が、契約違反に当たる事実がなく、家主の主張を拒否しているにもかかわらず、退去させようとしても、法的にも認められませんので、安心して生活してください。

(5)契約書には、確かに「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が1泊しただけなのに、家主から「同棲している」ということで、「敷金没収、違約金家賃3か月分を支払って退去せよ」というような請求されてしまった。契約書にこういう規定が載っているのは確かだが、たった1泊だけでこのような厳しい措置をとられるのは納得できないのだが‥。

→  契約書の特約事項に記載があるからと言って、すべての特約が認められるわけではありません。
  「同棲」を禁止する特約があり、それに違反した事実があったとしても、ただちに退去させるというような特約は認められません。
  通常、契約違反の事実があったとしても、家主との信頼関係が破壊されてしまったというような特段の事情があって初めて、家主からの契約解除ができるとされています。
  一般的に言えば、契約違反の事実を指摘されていながら、借主がいっこうに契約違反をやめようとせず、数ヶ月間が経過したような場合に、「信頼関係が破壊された」という判断が可能となるでしょう。


6.        ペット飼育

(1)「ペット飼育不可」の物件で、室内だけで飼うペット(ハムスター)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

→  本来、「ペット飼育不可」を契約の条件とするのであれば、その解釈が人によって異なることのないように、動物の具体的な名前を例に上げて解釈をはっきりさせておくべきでしょう。
  なぜなら、一般的に「ペット飼育不可」の解釈としては、「臭いや鳴き声などで他の入居者に迷惑のかかる恐れがあったり、室内を傷めたりする恐れのある動物の飼育は禁止するが、室内だけでの飼育が可能で鳴き声をほとんど出さない小動物の場合は認める」という場合が多いからです。
  本件の場合には、一般的な「ペット飼育不可」というだけで、細かな記載がなかったために、借主は「ハムスターぐらいよいだろう」と考えていたのに対して、家主は「ハムスターであろうがペットには違いない」ということで、家主からのクレームとなったのだと思います。
  従って、借主は、ハムスターを飼育することは契約違反に当たらないと考えていたのですから、違反を承知で飼育していた場合の責任とは大きく異なりますし、家主も、詳細な記載をしていなかったという落ち度がありますので、いわば過失相殺によって、家主は「次回からは気をつけて」程度の注意をするくらいにとどめ、現在飼育中のハムスターは認めるようにすべきでしょう。
  ところが、家主はいきなり「違約金を支払って即刻退去せよ」と言っているようですが、仮に契約違反に当たる場合であったとしても、即刻退去させることはできません。
  家主が契約違反に当たる事実をつかんだ場合、まず、契約違反であり違反をやめるように注意し、それでも何度注意してもやめようとせず、最終的に「家主と借主との間の信頼関係がなくなってしまった」というような状態になって初めて、退去を求めることが可能になるのです。
  逆に言えば、家主の一方的な主張に恐れることはないのです。それよりも、まず、家主の「誤解」を解くようにしたほうがよいでしょう。
  ハムスターをケージで飼育しているならば、臭いや鳴き声の問題もなく、他の入居者に迷惑をかけるようなことはありませんし、室内を傷つけることもないはずですので、家主に、飼育している状況を見てもらって、犬や猫を飼育しているのとはわけが違うということを理解してもらうことが先決です。
  それでも、家主が飼育を認めない場合に、飼育を続けるには、2つの対応法があります。
  ひとつは、家主の意向を無視して、「契約書の解釈の仕方が違うだけ」ということで、あくまで契約違反ではないとして飼育を続ける方法です。
  このような場合に、家主が退去を求めてきても、法律上許されませんし、裁判に発展しても、裁判官などは「他人に迷惑をかけない小動物の飼育を禁止する合理的理由はない」という判断をするでしょう。
  もうひとつは、一応は契約違反であることを認めたうえで、家主には「わかりました。ペットを処分します」と言っておきながら、隠れて飼育続ける方法です。
 家主といえども、入居者の部屋に無断で入ることはできませんので、家主に見つかる可能性は少なく、「わかりました」の一言で安心するでしょう。


(2)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(猫)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

→  猫は、ペットの中でも、尿の臭いが室内に残りやすく、壁や床を傷つけたりするケースが多いので、「ペット飼育不可」となっている物件では、水槽で飼育する魚類・ハムスターなどの小動物などと異なり、常識的に言っても、猫の飼育はできないはずです。
  それを家主に無断で飼育していたわけですから、契約違反であることは明らかです。
 飼育している猫の数が複数ともなれば、家主との信頼関係が破壊されていると言えないこともないでしょう。

  契約違反であることは明らかですが、「即刻退去」せざるを得ないかといえば、いきなり退去させられることはないでしょう。
  まず、猫の処分をどうするかということです。
 家主が飼育し続けることを認めてくれない場合に、住み続けることを優先するのであれば、可及的速やかに、猫の処分を行わなければならないでしょう。

  「猫の処分はかわいそう」というのであれば、違約金を支払って退去することもやむを得ないでしょう。
 ただし、このような場合にも、即刻退去しなければならないというわけではなく、次の物件が見つかるまでの相当期間は住み続けることができるはずです。

  猫を飼育し続けながら、住み続けようとする場合には、家主が法的手段を講じて退去を迫ってくる可能性がありますが、家主によれば、諦めて事実上の飼育を認めてしまう場合もよくありますので、家主の動向に注意が必要となります。
  なお、いずれにしても、退去時には、原状回復のための費用が高額になることを覚悟しておかなければならないでしょう。
 壁のクロスの全面張替えから、床の補修、ハウスクリーニング、場合によれば消臭作業なども加わり、原状回復費用そのものが高額になりがちだからです。

  それに、猫の飼育は契約違反であり、借主が「故意」に汚損・破損させたと判断されても仕方ないという理由もあるからです。

(3)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(子犬)を室内だけで飼っていたところ、他の入居者に見つかり、家主に通報されてしまった。家主は「契約違反だが、家賃の値上げをすることと、退去時に全面改装する費用負担を承諾すれば飼ってもよい」と言ってきたが、やはり、家主に従うしかないのか?

→  犬や猫などを室内で飼育していると、飼育していない場合と比較すると、どうしても、室内の各部が傷みやすくなります。
 そして、家主には、借主に使用収益させる義務があるために、一般的な修繕義務を負っていますが、当然のことながら、修繕費用も飼育していない場合よりも高額になる恐れがあります。

  そこで、高額になる可能性のある修繕費用をまかなうために、ある程度の家賃の値上げを行うことは不合理とは言えません。
  また、家主は、「契約違反だから即刻退去せよ」と言っているわけではなく、飼育することをやむを得ないこととして、認めるための条件を提示してきているわけですから、良心的な家主といえるでしょう。
  問題は、家賃の値上げ幅です。
 ペットを飼育しているために、そうでない場合と比較して、退去時の原状回復に要する修繕費用がアップするわけですが、その差額分を契約期間で月割にした金額が目安になるでしょう。

  たとえば、契約期間があと1年間残っていたとして、契約更新せずに退去する場合に、修繕費用のアップ額(予測額)が10万円ほどならば、月1万円近くとなってしまいますが、一方で、家主は、退去時のクロス等の全面張替え費用負担を承諾せよと言っていますので、退去時に、全面張替え費用を負担するのであれば、修繕費用としてのアップはおかしいということになります。
  そこで、家賃のアップについては、その合理的な説明を求め、退去時の全面張替え費用請求については、どの部分にいくらかかるのかを確認したうえで、家賃のアップとあわせて、妥当だと思われる金額をはじき出すことになるでしょう。
  そのためには、原状回復に要する費用の相場もつかんでおき、家主の一方的な主張の言いなりにならないようにしなければなりません。
  なお、「契約違反である」と言ってきたときに、「ペットを処分します」ということにするのであれば、家賃の値上げなどは一切認める必要はないでしょう。

(4)「ペット飼育不可」の物件でペットを飼っていた。しかし、他の入居者もペットを公然と飼っていたのに、家主から、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。「他の入居者も同じではないか」と反論したが、家主は納得しない。自分だけ退去を命じられるのは納得できないのだが‥。

→  駐車違反しているところを警察に注意されたところ、「他の人も駐車違反しているのに、なぜ私だけ処分するの?」と言っても、警察が取り合ってくれないのと同じように、借主が契約違反をしたかどうかは、他の入居者の行動にはまったく関係のない話です。
  事実関係として、はっきりさせなければならないのは、契約違反の事実があり、その事実を家主に注意されたわけですから、まずは家主に対する謝罪が必要でしょう。
 それを、謝罪するどころか、「他の人もペットを飼っている(契約違反している)のに‥」という「理屈」で逃げようとしたわけですから、家主が態度を硬化させたのも、致し方のないことでしょう。必要なのは、「反論」ではなく、「謝罪」だったはずです。

  いずれにしても、一切の謝罪がなかったことが、家主の態度を硬化させた理由だと思います。
  そこで、家主に対して、きちんと謝罪を行い、その上で、条件付でのペット飼育を認めてもらえないかどうか(例えば、退去時には、内装の全面張替え費用を負担するなど)について交渉し、それでも「ダメ」と言われるようであれば、ペットの飼育を諦めざるを得ないでしょう。
  そして、「退去せよ」という通告を取り下げてくれるのかを確認し、謝罪しても「退去せよ」という主張を崩さなかった場合には、対抗策を考えなければなりません。
  しかし、ペット飼育という契約違反の事実があったとしても、すぐに「退去しなければならない」ということではありません。
  判例などの考え方では、契約違反の事実があり、家主がそれを指摘して直すように警告したのに、借主がいっこうに態度を改めようとしない期間が相当経過した場合、家主と借主との間の「信頼関係が破壊されてしまった」という判断ができるので、家主として、契約を解除することができるとされているのです。
  家主が謝罪を受け入れず、「即刻退去せよ」と言ってきたとしても、それだけでは退去する義務はないと考えられます。
  家主が、「法的手段に訴えてでも退去させる」と言っても、裁判では、上記のような考え方をすることが多いので、家主の主張がそのまま認められることはないでしょう。

(5)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類に特に規定はなかったので、小型の室内だけで飼う犬を飼っていたところ、家主から「犬の鳴き声がうるさいという苦情が絶えないので、犬を何とかしてほしい」と言ってきた。「ペット飼育可ではないか?」と反論したが、家主は聞き入れてくれない。何かよい対策はないか?

→  「ペット飼育不可」ではなく、「ペット飼育可能」の物件である場合、問題になる背景の一つに、新築の時点では「ペット飼育可能」ではなかったのに、入居者確保のために、「ペット飼育可能」に変更したケースがあります。
  最近のように、新築の計画段階から、「ペット飼育可能」としている場合(もっと積極的に、「ペット共生マンション」というようなコンセプトで宣伝している物件もあります)、設計・設備上も「ペット飼育可能」に合わせて、ペットの糞尿の始末をするスペースを作ったり、ペット専用の出入り口があったり、壁も腰壁(腰の付近までの壁)までは、傷つきやすいクロスではなく、合板を貼って傷がつきにくいようにしたり、床材のフローリングには樹脂塗装を施して傷がつきにくくしたり、丈夫な抗菌クッションフロアなどを採用したりなどしています。換気システムや遮音構造にも工夫している物件もあるようです。
  しかし、単に、家主の思いつきで、それまでの「ペット飼育不可」から、「ペット飼育可能」に変更したような場合には、設計・設備上は、従来のままですので、さまざまな問題点が出てくることが多いのです。
  「他の入居者からの苦情が絶えない」という理由のひとつにも、「(家主が勝手に『ペット飼育可』にしたために)ペットの鳴き声でうるさい」ということが上げられると思います。
  他の入居者にしてみれば、「ペット飼育不可」ということで、ペットの飼育を諦めてきたのに、新しく入居した人がペットを飼育しており、そのことについて、家主から承認を求める連絡なども一切なかった場合、誰もよい気持ちがするはずがなく、ペットのちょっとした鳴き声にも、過剰に反応してしまうケースも多いのです。
  つまり、他の入居者からの「鳴き声でうるさい」という苦情は、ペットの飼い主よりも、どちらかといえば、家主の勝手な行動に対する意味合いのほうが強い場合が多いのです。
  家主としても、いったん「ペット飼育可」とした以上は、ペットが鳴き声を発するのは誰が考えても当然のことですから、家主としての責任、つまり、他の入居者に対する説明責任、ペットをめぐる苦情の解決を行うこと、ペット飼育のルールを作ること、退去時の原状回復に関して特約事項を設けること(ペット飼育をすれば内装の傷みが激しくなるので、修繕・張替え費用が高額になりやすいので、それらの費用負担のルールを特約としてあらかじめ取り決めておくこと)などを果たさなければなりません。
  本来は、「ペット飼育不可」から「ペット飼育可」に変更した場合には、建物の設備にも手を加えるべきでしょうが、入居者確保のために、無理やり「ペット飼育可」にした家主には、そんな金銭的余裕もないと思いますが、最低限、ルール作りくらいはきちんと行うべきでしょう。
  いずれにしても、今回のケースでは、よほど鳴き声のひどい犬でなければ、家主が問題の解決を図るべきでしょう。
  家主に対しては、上記の点を説明して、家主に了解を求めるようにしてください。

(6)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類や数に特に規定はなかったので、数種類のペットを飼っていたところ、家主から「ペットの数が多すぎて、臭いもきつい。ペットの数を1種類だけにしなければ退去してもらう」と言われたが、家主に従うしかないのか?

→  この相談についても、前項で述べたような家主の問題がないかどうかがひとつのポイントです。
  前項で述べたペットを飼育するルールをまったく作っていなかったのかどうかもポイントです。
  実際に、どのようなペットが何匹いるのかが書いてありませんので、はっきりしたことは言えませんが、常識的には、ペットの種類は「1〜2種類まで」、数も「ひとつのかご・ケジに入る程度」でしょう。
  つまり、熱帯魚などの小魚であれば、数十匹いてもひとつの水槽ですから問題ありませんが、犬や猫では、その物件の種類(戸建住宅かマンション・アパートか)、物件の専用面積(広いほど数を増やせるでしょう)、そして、ペットの大きさにもよりますが、せいぜい3匹程度まででしょう。
  もし、ペット飼育のルールがなかったり、不整備だったりする場合には、常識的な判断に従うしかないでしょう。
  「常識的な判断」自体、人によっても若干異なってくるでしょうが、最低限のラインでは共通認識を持つことができるでしょう。
  いずれにしても、具体的な状況(どんなペットが何匹いるのか?)がはっきりしませんので、家主と交渉して、妥協案を探るしかないでしょう。

(7)「ペット飼育可」の物件だが、ペットに子供が生まれてしまった。それが家主の知るところとなり、家主から「ペットは1匹のみしか認めないと契約書にも書いている。すぐに処分せよ」と言ってきた。小さなペットの子供を処分してしまうのはかわいそうなので、何とかペットを守ってやりたいのだが、何かよい方法はないか?

→  まず、ペット飼育に関するルールがどのようになっているのかがポイントの一つとなります。
  きちんとしたペット飼育ルールなら、「ペットの避妊措置」についても何らかの記載があると思います。
  つまり、犬・猫などのペットは、避妊・去勢などの措置をすることを義務付けたり、その証明を提出させたりするなりしています。
  そのようなルールが決められていない場合でも、契約書には「1匹のみ」となっているのであれば、生まれたペットの子供を手離すしかないでしょう。
  ただし、せめて、「新たな飼い主が見つかるまでの間(ただし最長で○ヶ月)」というような約束をすることで、家主の了解を得るようにしなければならないでしょう。
  それ以外の方法としては、「ペット共生物件」への引越を行うという方法ですが、借主が住んでいる物件に空室が目立つ場合には、家主に対して「ペットを殺すわけには行かないので、どうしてもペットを処分せよというのであれば退去するしかない」と言って、家主の妥協を引き出そうとしてみることです。

(8)突然、管理会社より「ペット飼育可能なマンションにします」との通知がきた。現在入居している殆どの住民は、この件について反対しており、管理会社に連絡を取ったが、こちらの言い分は全く聞いてくれない。どうすればよいか?

→ 契約書や特約事項として定められている項目は、家主と借主との間で、合意して双方が守るべき事項を記載しています。
 したがって、「ペット飼育禁止」という特約事項は、借主が守るのは当然ですが、家主側(家主の代理人としての管理会社も)も守る義務があります。
 「管理会社の承諾を受けずにその行為をしてはならない」としている規定は、管理会社がペット飼育の許諾を自由にすることができるという解釈ではなく、借主がペットを飼育希望する場合に、ペットの種類や条件等を考慮の上、例外的に許可する場合でも、他の入居者に迷惑をかけることがないかどうかを確認するための規定だと考えられます。
 従来、ペット飼育不可の共同住宅であったものが、「ペット飼育可能」となると、ペットの臭いや鳴き声、糞尿の後始末などで、生活環境としては、悪化する可能性が大きく、「ペット飼育不可」物件が多い賃貸業界では、ペット飼育を希望する借主が殺到する可能性もあるでしょう。(そこが家主側の狙いでもあるわけですが…)
 家主は、家賃を徴収している以上、借主に対して、「使用収益させる義務」を負っていますが、ペット飼育可能にすることは、ペット飼育を希望しない借主にとって、大きなマイナスとなるのは明らかです。
 ペットの飼育は、誰もが好むものとは限りませんので、「ペット飼育不可」が条件の物件を選んだ借主は、ペット飼育可能になれば、契約の目的がまっとうできないということにもなります。
 最近の「ペット共生型マンション」では、ペット飼育を可能にするために、きちんとした管理規約を作成し、設備的にも、ペットの糞尿を洗い流せたり、傷がつきにくい内装にしたりなど、さまざまな工夫を行っています。
 そこで、家主側(管理会社)に対しては、まず、「契約違反である」ことを認めさせる必要があります。
 それが、家主側からの譲歩を得る前提となるでしょう。
 もし、契約違反であることすら認めないようであれば、「契約の目的がまっとうできない」として、他の入居者と合同で、家賃の供託などを行ってはどうでしょうか?
 そうすれば、家主側は、調停等での話し合いに応じ、妥協策を提案してくることになるでしょう。
 契約違反であることは認めた上で、「空室が埋まらない以上、仕方ないので認めてくれ」というような場合には、ペット飼育のためのルールを入居者の承諾を得ながら作成すること、ペット飼育可能に変更するに当たって、ペット飼育のための設備を設けることなどをしてもらいましょう。
 そして、「ペット飼育は我慢ならない」という入居者については、他の物件に引越しするための諸費用の支払いを約束してもらうように交渉したほうがよいでしょう。
 いずれにしても、このような問題は、個々の入居者と管理会社との間で行うのではなく、入居者全員の合意の下で団体交渉を行ったほうが効果的です。


7.        ゴミ処理

(1)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「ゴミ回収は入居者同士で話し合って解決してほしい」と言って取り合ってくれない。今は、入居者の有志で後始末をしているが、何とかならないものか?

→  家主の考え方が間違っていると思います。分譲物件と勘違いしている  のでしょう。
  分譲マンションなどでは、それぞれの入居者自身がオーナーであり、管理責任者ですので、入居者同士が話し合って解決するしかありません。
 そのために管理組合を結成するのです。

  しかし、賃貸物件においては、それぞれの入居者はオーナーではありません。管理責任も自分が借りている部分のみです。
  ゴミ回収場所のような共用部分については、その管理は、管理責任者である家主自身が行うべきなのです。
  便宜上、入居者が共同管理しているような場合にも、それは自主的なものであり、管理責任は、あくまで家主にあるのです。
  家主は、家賃という対価を得て、他人に物件を貸している以上、入居者に使用収益させる義務があるのです。
  ゴミの回収を入居者にきちんと行わせ、ゴミの散乱を防止し、それでもゴミが散乱して誰も後始末をしないような場合には、家主がきちんと後始末をしなければならないのです。
  そこで、入居者の連名で、家主に対して、「家主には、入居者に対して使用収益させる義務があると同時に、共用場所をきちんと維持する義務があるので、ゴミが散乱している場合には、家主自身の責任で解決に当たってほしい」と言ってください。

(2)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、特定の人なので、家主から警告してもらったが、それでもルールを守らないために、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「本人には警告しており、本人も努力すると言っているが直らない」と言うばかり。何とかならないものか?

→  居住ルールを守らない入居者がいるのに、それを放置しておくことは、他の入居者にも悪影響を与え、誰もがルールを守らなくなれば、物件全体が荒れてきますので、嫌気がさした入居者は出て行き、荒れ放題の物件では新たな入居者はなかなか出てこないでしょう。
  結局、居住ルールを守らない入居者を放置しておくことは、最終的に、家主が多大なダメージを受けることになってしまうのです。
  そこで、迷惑を受けている入居者の連名によって、家主に、次のように申し入れてはどうでしょうか?
  ルールを守らない入居者に対して、家主は、荒れ放題の物件にならないようにするため、毅然とした態度で、「今後、ルールを守らなかった場合には、即刻退去します」というような念書を取ってもらい、「努力しているが直らない」というようなあいまいな状況を認めないようにすること。
 さらに、ゴミ散乱状態が解決するまでの間は、家主自身の責任で、ゴミの散乱を片付けるようにすること。

  それでも、いっこうに、ルールを守る気配がないのであれば、家主の責任で、ルール違反者の退去を求めなければならないでしょう。

(3)自治体のゴミ回収ではなく、業者による毎日回収をしているが、毎月「ゴミ回収代」として費用を請求される。自治体なら無料なので、入居者が費用を負担するのは納得できないのだが‥。

→  このような問題は、本来、契約前に「解決」しておくべき問題です。
  学生マンションなどでは、入居者である学生が、ゴミ出しルールを守らないケースがよくあり、家主や管理会社が後始末をしなければならないということが少なくありません。
  つまり、ゴミ出しルールは、主に。次のような5つのルールがあります。
  指定されたように分別すること、指定された袋に入れること、指定された曜日に出すこと、指定時間帯に出すこと、指定の場所に出すこと‥。
  しかし、これらのルールをすべて守ることができない入居者が、一定の割合でいるのが現実でしょう。
  仮に、100人が居住しているマンションで、わずか2〜3名のルール違反者がいても、結果的にゴミが散乱してしまい、近隣からの苦情に発展することになるのです。
  そこで、このような現実を背景に、最初から、民間のゴミ回収業者と契約し、「毎日回収」を行っている学生マンションがあるのです。
 そして、入居者には、ゴミ回収費用として按分負担してもらっているのです。

  問題は、このような点については、契約前の重要事項説明で、必ず説明されているはずですので、万が一、説明がなかったとすれば、仲介業者の責任ですが、学生が契約する場合、多くの場合、重要事項説明を熱心に聞いているのは保護者であり、本来、きちんと内容を把握しておくべき本人(学生)は、「すべて親任せ」というような態度で、重要なポイントも聞き漏らしていることが少なくないのが現実なのです。
  相談者が、「聞き漏らしていた」かどうかはわかりませんが、そういうようなことはなかったかどうかを確認してみることが必要です。
  契約期間中に、自治体回収から、業者回収に切り替えになった場合にも、家主や管理会社が一方的に「悪い」とは言えないでしょう。
 それだけのメリットを入居者が受けるわけですから、負担する費用が許容範囲内(日額30〜50円として月額1000〜1500円程度)であれば仕方ないのではないでしょうか?

  しかし、一方で、費用負担以外については、別の問題を指摘する声もあります。
  つまり、自治体回収では、分別回収が義務付けられているにもかかわらず、業者回収の場合、多くは分別しないため、ゴミを出すほうは気楽なのですが、ゴミの捨て場所の負担が増えたりして環境問題を悪化させる元となったり、入居者の環境マインドを醸成しないなどの点で問題ありという声もあるのです。

(4)業者のゴミ回収が夜中に行われるため、騒音で起こされてしまう。管理会社に苦情を申し入れたが、「回収ルートと時間が決まっているので我慢してもらうしかない」と言われた。何とかならないのか?

→  まず、回収時間帯の変更ができないかどうかを、管理会社から、ゴミ回収業者に申し入れてもらうことが先決でしょう。
 
それが、まったくだめだという場合には、どれくらいの騒音なのかによって対応策が異なってくるでしょう。
  深夜の騒音については、交通騒音の場合における建物の屋内における騒音基準というものが定められていますので、その基準を上回っているかどうかがひとつのポイントになります。
  その基準は、夜間(午後10時〜翌朝6時)は40デシベル以下というものです。
  しかし、実際問題として、ゴミ回収車の騒音が「一瞬の間、40デシベルを越えていた」としても、その事実を持って、「騒音基準違反である」と言えるかどうかは、判断が分かれるでしょう。
  なぜなら、もともと交通騒音の場合には、しょっちゅう車の往来がある場合の騒音基準であるのに対して、ゴミ回収車の場合には、ほんの2〜3分程度の時間だけのことだからです。
  そのことから考えると、多少、ゴミ回収車の騒音が、交通騒音の基準を上回っていたとしても、受忍限度であると言えるのではないかと思います。
  なお、別の角度から、この問題を考えると、同じ物件で、ゴミ回収車の騒音問題で苦情を言っているのは何人くらいいるのかもポイントになります。
  つまり、このような苦情が、非常に限られた入居者だけ(一人だけ)というような場合には、騒音自体の問題よりも、物音を騒音として捉えてしまうということに問題があるように思います。
 音に対して、過剰な反応をしている可能性があるのではないかということです。

  もし、そういうことであれば、耳栓をして自己防衛するとか、一度、病院などで診察してもらって、原因を調べてもらうという手もあります。
  そういう問題ではなく、建物の物理的な構造に起因すると考えられる場合には、窓ガラスを2重窓にしたり、エアタイトサッシに代えてもらったりして、遮音構造を増強したほうがよい場合もあります。


8.        家賃の滞納

(1)契約書には「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」と書いていたが、うっかりして家賃を1か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

→  日本には、「契約自由の原則」(私的自治の原則)というものがあります。
 つまり、誰と契約しようがしまいが自由であり、契約内容も原則として自由、契約の方式も自由であるというものです。
 その前提には、独立・対等・平等な市民間においての契約については、できるだけ当事者の自由に任せようという国の判断があります。

  従って、原則としては、どのような契約も自由であり、契約する際に、署名捺印しているということは、契約事項を承認しているということになりますから、従わざるを得ないということになります。
  ところが、居住用の建物の賃貸借契約においては、家主が一方的に定めた契約事項を、借主が承諾するかどうかだけの権利しかないため、もともと、対等・平等ではないのです。
  そのような違いを放置して、当事者の自由に任せておくことは、家主が好き放題の契約を定めることを容認することになり、良好な社会秩序にも悪影響を及ぼすことになります。
  そこで、いくつかの制限を設けて、好き勝手な契約ができないようにしているのです。
  まず、第一は、借地借家法上の「強行規定」に違反していないことです。
  契約内容が、借地借家法上の「強行規定」に反している規定は無効であるとされていますので、それに違反していないかどうかが問題となりますが、家賃の滞納については触れられていませんので、この点からは、契約は有効です。
  二つ目に、契約内容が公序良俗に反していないかどうかです。
  「公序良俗」の法律用語としての意味は、現代社会の一般的秩序を維持するために要請される倫理的規範」とされています。
  殺人依頼の契約、愛人契約などの誰が考えても公序良俗に反している契約以外でも、男女によって定年年齢が異なるようなケースでも、性別による不合理な差別として、公序良俗違反とされた場合もあります。
  そこで、「1ヶ月の滞納による契約解除」が、社会の秩序を壊すほどの不合理な契約内容かどうかが問題となりますが、人によって判断が分かれるでしょう。
 逆に言えば、誰が考えても、「公序良俗違反である」とも言えないレベルですので、「公序良俗違反により契約は無効」とは言えないでしょう。

  三つ目は、法律用語で言うところの「例文解釈」による契約内容の無効とはならないかという点です。
 これは、少しややこしいのですが、不動産の賃貸借契約などで、文言どおりに解釈することで、結果があまりにも不当なことになってしまう場合、契約内容そのものを「単なる例文である」として、その効力を否定するものです。

  しかし、これまでのところ、短期間の家賃の滞納による契約解除を、「例文解釈」によって無効であると判断されたケースはないようです。
  四つ目は、2001年4月に施行された消費者契約法による「消費者の利益を一方的に害する規定は無効である」という規定に違反していないかどうかという点です。
 この点については、長期的な契約関係を前提とした建物の賃貸借契約において、わずか1ヶ月分だけの滞納によって契約解除を行うことは、「消費者の利益を一方的に害する」規定だという判断を行うことが可能かもしれません。
 ただし、まだ、消費者契約法の規定を取り上げた判例がないため、必ず、そのような解釈になるかどうかははっきりしていません。

  そこで、最終的には、これまでの判例で蓄積されてきた考え方によって、契約内容を判断することになるでしょう。
  判例での考え方は、「信頼関係破壊の理論」と呼ばれているものです。
 つまり、居住を目的とした長期間にわたる賃貸借契約においては、単に契約違反にあたる事実があるだけでは契約を解除して退去させることができず、「家主と借主との間の信頼関係がなくなってしまった」というような状況になって初めて、家主からの契約解除を認めるようにして、借主の居住権を守ろうとしているのです。

  従って、「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」という契約条項は、「明らかに無効である」とまでは言えませんが、かといって、それだけで適用されるわけではなく、借主に家賃の支払いの資力があるにもかかわらず家賃を滞納し、家主が納めるように何度も督促したのに、数ヶ月以上も滞納を続け、もはや、借主は、「家賃を支払うという約束を守るつもりがない」と判断されるような状況になった場合に契約解除することができるとされているのです。

(2)契約書には「家賃を3ヶ月分以上滞納すれば即刻退去させる」と書かれていたが、うっかりして家賃を3か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

→  前項で解説しているように、家賃の滞納による契約解除は、契約書に記載されている通りに行うことはできず、家主と借主との間に、「信頼関係がなくなってしまった」というような状況になって初めて、契約解除が可能であると解釈されています。
  その観点から相談内容を見ると、確かに、借主は3ヶ月間家賃を滞納していたわけですが、「うっかりして」いたということが、ひとつのポイントになります。
  つまり、借主が家賃を滞納している間、家主は、借主に対して、一度も家賃の督促を行わなかったようなのです。
  借主からすれば、わざと滞納を続けていたというよりも、うっかりミスにより、家賃の滞納が続いてしまったということですが、こういうケースはけっこうあるものです。
  例えば、学生などの場合、家賃の支払いが、契約者本人が支払うのではなく、実家から振込をすることになっているようなケースがありますが、実家からの振込がうっかりミスで滞納されていても、本人はまったく気づかなかったというような場合です。
  そうすると、形式的には、契約条項をそのまま適用すれば退去させられることになってしまいますが、借主と家主との間の「信頼関係が破壊されてしまった」というような事情は認められませんので、家主側からの契約解除は不可能なのです。

(3)契約書には「家賃を1日でも滞納すれば、年利30%の滞納補償金および滞納手数料5000円を支払うこととする」と書いていたが、うっかりして家賃を所定の期日に振り込まなかったところ、管理会社から、「契約違反なので、滞納補償金と手数料を請求する」と言われた。契約書に明記されていたら、従わざるを得ないのか?

→  「滞納補償金」というのは、「遅延損害金」のことです。
 家賃のような金銭債務については、通常は、利息制限法の制限利息の1.46倍までであれば、その約定が認められていますが、元本10万円未満であれば年20%、同じく10万円以上100万円までなら年18%が制限利息ですので、約定としては、10万円までの利息は、20%×1.46=29.2%、100万円までの利息は、18%×1.46%=26.28%以下でなければなりません。

  ところが、契約書では、「年利30%+手数料5000円」ということになっていますので、法律で認められた上限を超えていることになります。
  従って、法律の上限を超えた部分については、支払う義務はないということになります。
  さらに、その契約が2001年4月1日以降に契約されたものであれば、消費者契約法が適用されますので、消費者契約法第9条によって、年14.6%を越える部分については、支払う必要がないとされています。
  いずれにしても、契約書の内容どおりにする必要はないということです。


9.        家賃の値上げ

(1)契約期間中に、家主から「3ヵ月後の家賃から値上げする」という通告が来た。契約書には、「家賃の値上げを行う場合には3ヶ月前に通告する」となっていたものの、一方的な値上げであっても、契約書にあれば従わざるを得ないのか?

→  契約書に、家主側からの家賃の一方的な値上げ条項がある場合、それに従う義務があるかどうかということですが、借地借家法上は、従う義務まではないとされています。
  まず、常識的に考えて、契約期間が2年間程度までであれば、契約期間中に、家賃を一方的に値上げせざるを得ないという合理的な理由は滅多に発生しないでしょう。
  契約期間が10年以上の長期契約である場合、契約期間中に、物価や諸税の増減、近隣の同等物件の家賃の増減などにより、契約書に定めた家賃が不相応になる可能性が大いにありますので、家賃の値上げ通告条項を設けていたとしても、一方的で不当であるとまでは言いづらいでしょう。
  しかし、契約期間が2年以内であれば、物価や近隣の同等物件の家賃相場の増減幅もそれほど大きくなく、家賃の値上げが必要なら、契約更新時に借主と交渉すればよいので、契約期間中の家主による一方的な値上げ通告条項は不当な条項であるといえるでしょう。
  そこで、借地借家法の第32条では、諸税、土地価格の増減、経済事情の変動、近隣の同等物件の家賃相場との格差の広がりによって、家賃が不当になったときは、家主・借主の双方は、家賃の増減について、請求することができるとしています。
  ところが、経済事情の変動などに一切関係なく、家主の一方的な裁量によって、家賃の値上げが可能であるとする契約条項は、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する規定は無効である」という規定に合致しますので、消費者契約法が施行された2001年4月以降の契約であれば消費者契約法が適用されるので、契約書の内容に従う必要はありません。
  消費者契約法の施行前の契約である場合、借地借家法の第32条2項によって、家主による家賃の値上げが不当であると思う場合、裁判で家賃が確定するまでの間、従来の家賃を供託するという方法もありますが、家賃の確定のためには、不動産鑑定士による鑑定が必要となり、その費用については、家主との折半が必要となります。
 それだけでも10万円程度の費用がかかってしまいます。
 実際に、裁判を起こすのは利口ではないと思いますので、消費者契約法の趣旨を理解してもらい、家主に妥協を迫るようにしたほうがよいでしょう。



10.    共用部分の問題

(1)家主から、「共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書にそういうことは明記されていないが、家主からの通告には従わざるを得ないのか?

→  共用部分の清掃や維持管理のために、「共益費」や「管理費」などの名目で、家主が徴収していると思います。
 「共益費は無料」という場合には、家賃に共益費部分も含んでいると解釈されます。

  家主は、家賃や共益費を徴収している以上、入居者に使用収益させる義務がありますので、共用部分の清掃は、家主が行わなければなりません。
 まして、契約書に記載されていないのに、入居者に清掃を求めるとすれば、家賃や共益費の支払いとの二重負担を求めることになります。

  従って、家主の言い分は無茶苦茶な要求ですので、従う必要は一切ありません。
  しかし、そんな無茶な要求であっても、家主の要求を受け入れてしまい、共用部分の清掃を行う入居者が出てくると、かえって、入居者間に不協和音を与えてしまうことになり、結果的に、他の入居者も清掃をやる羽目になるかもしれません。
  そこで、家主の要求が無茶苦茶であり、家主に従う必要もないので、入居者全員で拒否するように、他の入居者に働きかけたほうがよいでしょう。
  そして、入居者の連名によって、家主に対して、「家賃や共益費の負担と合わせて、清掃を求めるのは二重負担になるため、一切拒否する」という通告を行ったほうがよいでしょう。

(2)家主から、突然「来月より共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書に確かに明記されているが、契約書に記載があれば従わざるを得ないのか?

→  契約書に「共用部分の清掃は入居者が手分けして行う」というような  記載がある場合、従う義務があるかどうかということですが、「清掃義務」という規定は、借地借家法上の強行規定に違反する規定ではなく、公序良俗に反しているともいえず、消費者契約法に定めた「消費者の利益を一方的に害する規定」とも言えないため、特約としては、一応有効となるでしょう。
  ところで、共益費としては、いくら支払っているのでしょうか?
  もし、共益費としての金額が、近隣の同等物件に比較して、明らかに安いという場合には、「共用部分の清掃費が入っていない」という理解が可能ですが、他の物件と同じような共益費の負担を求めているのであれば、「共用部分の清掃を手分けして行う」ことは、二重の負担を求めることになり、非常に不合理です。
  一般的には、有効となる規定であっても、結果的に、二重負担となるような契約であれば、「公序良俗に反している」という判断もできますし、消費者契約法の趣旨にも反しているといえますので、その点を家主に交渉すればよいでしょう。
  また、実務上も、入居者が平等に共用部分の清掃を行うということ自体、非常に難しいことです。
 平等な負担をめぐって、入居者同士がもめたり、不満に感じるような事態が発生したりすることは、火を見るよりも明らかだと思います。

  それに、清掃業者による共用部分の清掃費用は、通常の共益費の範囲内で十分まかなえると思いますので、家主に、「共益費で清掃費用はまかなえるはず」という主張を行ったほうがよいでしょう。
  なお、家主との交渉は、他の入居者とも協議し、入居者の総意であることを前提として交渉に臨んだほうがよいでしょう。

(3)共用部分の照明が夜遅くなると消されてしまい、深夜に帰宅することが多いので、暗くて防犯上も問題だと思う。家主に照明を付けるように言ったが、「共益費が安いので無理。どうしてもと言うのなら、共益費を値上げするが、他の人にはあなたのせいだと言ってもよいのか?」と言われた。どうすればよいのか?

→  もともと共益費には、共用部分の清掃費や維持管理に必要な費用が含まれていると解釈されています。
  さらに、家主としては、家賃という対価を得ている以上、入居者の生活が安全快適に送れるようにする義務(使用収益させる義務)がありますので、夜間も安全に通行できるようにするのが、家主の義務です。
  「共益費が安い」ということですが、近隣の同等物件と比較して、本当に、「安い」といえるのでしょうか?
  明らかに、「安過ぎる」という場合でも、共用部分の維持管理がきちんとできるとして、金額設定したのは家主ですから、仮に、「計算が間違っていた」としても、家主が責任を負うべきです。
  なぜなら、借主は、家賃や共益費の金額を確認してから契約したのであり、契約後に、一方的に値上げすることができるのなら、いくらでも詐欺まがいの手法が通用することになるからです。
  従って、家主に対しては、「家主の義務として、共用部分の照明を点灯すべきである」と主張してください。
  それでも、家主が照明をつけようとしないのであれば、他の入居者との連名で要望書を提出し、「照明が付かないことで、万が一、事故が発生した場合には、家主が全責任を負う」という念書への署名・捺印を求めたりしてはどうでしょうか?
  それも受け入れられないのであれば、やはり、他の入居者といっしょに行動し、共益費の一部の支払いを拒否するなどして、家主からの妥協を引き出すようにするしかないでしょう。

(4)共用部分に荷物を置きっぱなしにしている人がおり、悪戯で火でも付けられたりしたら困るので、管理会社に注意を求めたが、掲示板に警告文を張るだけで、いつまでも同じ状態が続いている。歩きにくく危険でもあるので何とかしてほしいのだが、どうすればよいか?

→  管理会社は、家主の代理人として、共用部分の管理をきちんと行うべきです。
 単に、警告文を貼り付けるだけで効果がなければ、直接、該当する入居者と面会し、荷物の撤去を求め、二度と同じようなことをしないように、念書を取るなどすべきでしょう。

  しかし、管理会社がきちんとした対応をしないのであれば、家主にきちんとした対応を行ってもらうしかないでしょう。
  まず、家主に対して、管理会社の業務怠慢を告げ、家主自身にも現場を確認してもらい、家主から、直接、該当する入居者への警告、念書の徴収などを行ってもらうようにしたほうがよいでしょう。
  なお、共用部分の問題については、管理会社や家主との交渉は、できるだけ、一人だけで行なうことを避け、他の入居者と一緒に行動するほうが効果的だと思います。


11.    設備の故障

(1)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。契約書に記載されている以上、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

→  風呂釜は、明らかに設備機器であり、生活上、必要不可欠な設備ですので、風呂釜の故障の原因が、借主の故意や重大な過失、あるいは善良なる管理者の注意義務違反にある場合でなければ、家主が修繕を行うべきです。
  契約書に、「すべての修繕費用は借主負担とする」というような特約事項が入っていたとしても、そのような規定は、判例上も認められていませんし、消費者契約法が施行された2001年4月以降の契約であれば、消費者契約法の第8条5項に規定する「消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項」に該当しますので、その規定は無効となります。
  従って、どの時期に契約したものであっても、風呂釜の修繕は家主が  行うべきです。
  そこで、家主に、判例や消費者契約法の趣旨を説明し、納得してもらうように努めなければなりませんが、家主がまったく耳を貸そうとしない場合には、いつまでも風呂に入れないということになってしまいます。
  万一、そのような場合になれば、入居者が自らの費用で修繕を行ったうえ、すぐにその領収書(コピー)をもとに、家主に対して、「必要費償還請求権」(民法第608条1項にもとづく)によって、支払い後すぐに返還請求してください。
  「必要費償還請求権」というのは、民法上、明文化された規定ですので、家主に対して、堂々と請求することができます。
  家主が、その請求すら無視するようであれば、家主に内容証明の文書で通告し、修繕費に見合う分まで、家賃の支払いとの相殺を行うようにしてください。

(2)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。仕方なく、修繕費用を支払ったが、家主に支払ってもらうことはできないのか?

→  もともと、風呂釜などの設備機器の場合には、家主が修繕費用を負担  すべきです。
  契約書には、「修繕費用は借主が負担する」と明記されていたということですが、このような特約事項は、判例や消費者契約法では認められていないのです。
 つまり、無効となるのです。

  にもかかわらず、契約書に従って、借主が「仕方なく、費用負担した」場合、契約自由の原則によって、「借主負担を自ら認めたため家主に費用請求はできない」のかどうかが判断のポイントになるでしょう。
  民法との関係では、借地借家法上の強行規定に反するかどうか、公序良俗違反かどうか、「例文解釈」と呼ばれている、文言どおり適用すると不合理な結果となる場合に、その規定を無効とする法律上の考え方によるかどうかなどを考えた場合、特約が有効とされる可能性があります。
  しかし、民法よりも優先される消費者契約法によれば、契約条項そのものが無効となりますので、契約内容を「有効」と錯覚したために、費用負担を認めたのであって、もともと「無効」であるならば、費用負担には応じなかったはずと考えられます。
  つまり、借主が費用負担したのは、「錯誤によって無効である」という主張ができると思います。
  消費者契約法は、2001年4月以降の契約にしか、直接的な適用はありませんが、それより前の契約であっても、消費者契約法の趣旨は生かされなければなりません。
  そこで、家主に対しては、「費用負担したのは、借主が負担する義務があると錯覚していたためであり、「必要費償還請求権」(民法第608条1項にもとづく)によって、支払った修繕費用を返してほしい」という請求をしてください。
  それでも、家主が支払いに応じなければ、前項で述べたように、家賃との相殺を主張してください。

(3)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には何も記載されていないのに、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。このような場合でも、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

→  風呂釜は、生活上必要不可欠の設備ですので、故障の原因が、借主の故意や重大な過失、善良なる管理者の注意義務違反にある場合でなければ、家主が修繕しなければなりません。
  民法上も、家主には家賃という対価を得ている以上、入居者に使用収益させる義務があるため、修繕義務を負うことになっています。
  従って、家主に「家主の費用ですぐに修繕せよ」と主張してください。
  しかし、家主がすぐに修繕しないようであれば、家主に、「自分で修繕するがすぐに費用を支払ってほしい」と通告し、自ら修繕し、すぐに、「必要費償還請求権」(民法第608条1項にもとづく)にもとづいて、家主に請求してください。
  家主が、それにも応じないのであれば、「家賃との相殺をする」と通告し、修繕費養分の家賃の支払いを拒否してください。

(4)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンはサービスで付けているので、修繕費用までは負担できないと言ってきた。家主の主張に道理があるのか?

→  契約前に、仲介業者で受けた「重要事項説明書」の内容を確認してください。
  重要事項説明書で、空調設備の欄に「エアコンあり」というような記載がされていれば、その記載が仲介業者のミスでなければ、家主の主張は通らなくなります。
  つまり、家主が設置した設備であれば、故障の原因が、借主の故意・過失や善良なる管理者の注意義務違反でなければ、家主には修繕する義務があるのです。
  重要事項説明書には、「エアコンなし」とか「エアコン持込可能」というような記載であったのに対して、実際には、エアコンが付いていたというような場合は、エアコンは家主が設置したのではなく、前の入居者が設置したものをそのままにしていたというようなケースでしょう。
  そのような場合には、家主の付けた設備ではありませんので、当然のことながら、家主に修繕義務はありません。
  「エアコン」という設備は、「生活上必要不可欠な設備」に近いとしても、それがなければ生活できないというわけではありませんので、家主に設置義務があるとはいえないのです。
  ちょっとややこしいのは、重要事項説明書では、「エアコンあり」となっていたのに、家主に話をすると、「そのエアコンは、前の入居者が付けたままにしていたのであって、家主がつけたのではないから、修繕義務は負わない」というように言ってきた場合です。
  このような場合には、本来、家主は、仲介業者に対して、「空調設備としては、『エアコン設置可能』ですが、実際には、前の入居者が置いたままのエアコンがあります」というような正確な説明をしておくべきだったのに、「エアコンあり」というような説明をしたために、仲介業者や借主が誤解する元となってしまったのです。
  いずれにしても、誤解を与えたのは家主の責任ですし、「エアコンあり」という言葉を信用して契約したわけですから、家主のミスを借主に転化するようなことは許されません。
  従って、このようなケースでも、家主が修繕費用を負担すべきです。
  家主の責任であるにもかかわらず、家主が修繕を行わない場合には、必要費償還請求権(民法第608条1項にもとづく)を行使するという方法もありますが、エアコンが、生活上必要不可欠な設備であるかどうかは判断が分かれると思いますので、エアコンが、「必要費」に当たるかどうかも判断が分かれるものと思います。
  つまり、家主が修繕しない場合、借主が修繕費用を負担して、家主に、必要費償還請求権で費用の返還を求められるかどうかといえば、少し、判断が分かれる可能性があります。
 必要費償還請求権が認められるという前提で、エアコンの修繕を行ったとしても、その費用をすぐに償還請求できるかどうかは即断できないということです。

  家主に修繕をしてもらうためには、粘り強い交渉が必要になると思います。

(5)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンは前の入居者が付けたものなので、修繕費用の負担はできないと言ってきた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

→  契約前の仲介業者で受けた重要事項説明書では、空調設備のところがどのような記載になっていたかが、ポイントの一つです。
 前項に述べたとおりです。

  前の入居者が付けたエアコンであったとしても、家主が、仲介業者には「エアコンあり」という連絡をしており、仲介業者が家主の申告にもとづいて、重要事項説明書に「エアコンあり」という記載を行っていたような場合には、家主が修繕費用を負担すべきですし、その理由は前項で述べたとおりです。

(6)入居後、雨漏りがするのに気づき、家主に修繕を求めたところ、「半額負担してほしい」と言ってきた。おかしいと思うのだが、家主の主張に従う必要があるのか?

→  雨漏りのように、建物の構造の不具合によって発生した故障・不具合については、家主が修繕費用を負担するべきです。
  従って、家主の主張には、まったく合理性がありませんので、入居者負担は断固拒否すべきでしょう。
  家主の主張が認められるためには、支払っている家賃があまりにも低く、「使用貸借」(無料で借りている)と事実上変わらないような場合だけです。
  ほとんど無料同然で借りていたような場合で、住んでいた期間が長ければ、家主の「半額負担してほしい」という主張は、一定の合理性があると判断できるので、半額負担することもやむを得ないかもしれません。

(7)築後30年以上する建物だったが、雨漏りはするわ、建具はがたついておりまともに開け閉めできないわ、給湯器もよく故障しがち、トイレの水もよく流れないなど、あまりにもひどい状態だった。そこで、家主に「ちゃんと生活できるようにすべての部分を修繕せよ」と迫ったところ、家主の弁護士と名乗る人から、「修繕費用が高額になるので負担できない。いやなら礼金・敷金も含めて全額返すので退去してほしい」と言ってきた。家賃が安く住み続けたいが、修繕もしてもらいたい。こちらの主張を通すのは難しいか?

→  民法上、家主は、家賃という対価を得ている以上、入居者が安全・快適な生活ができるようにする義務(使用収益させる義務)がありますので、原則として、修繕費用は家主負担です。
  しかし、いくら家賃を得ているからと言って、修繕費用が莫大な費用となる場合には、家賃を得ているメリットよりも、費用負担のほうが大きくなってしまいます。
 そうなれば、何のために他人に物件を貸しているのか、意味をなさなくなってしまいます。

  そこで、修繕費用が、家賃の数十か月分以上の高額になるような場合には、家主の修繕義務は免除されるという判断がなされているのです。
  従って、家主側の弁護士が言っていることは間違いではなく、家主に修繕を求めることはできないのです。

(8)水道の水の出があまりにも悪いので、家主に改善を求めたところ、家主は「行政の水道課にも改善を申し入れたが、改善は難しいと言われた。それに、建物が古いので水の出が悪いのはある程度は仕方ないこと」と言ってまともに取り合ってくれない。きちんと使えるようにするには、どのようにしたらよいでしょうか?

→ まず、行政の水道担当課に行って、事情説明を行い、どのような解決方法があるかを相談したほうがよいでしょう。 
 通常、行政の責任範囲は、建物近くまでの道路の水道管の敷設までで、そこから建物に引き込む工事以降は、すべて所有者の責任(負担)になると思いますが、水道の圧力が不足している原因の調査(漏水があるとか、水道管が詰まっているとか、もともと契約している水圧が低いとか)を行い、通常の生活ができるようにするための修繕工事を行ってもらうのが原則でしょう。
 家主は、家賃を徴収する以上、民法上の「使用収益させる義務」を負っており、水道を通常の状態で使えるようにしてもらうことは借主としての当然の権利です。きちんと修繕工事を行うように、強く要求すべきでしょう。
 そのためには、まず、事実関係と費用負担すべき人の所在(家主の責任であることの確認)をきちんと確認するために、市の水道課に行って相談したほうがよいでしょう。

12.    庭木

(1)一戸建てを借りているが、家主から、「庭木の剪定は借りている期間中は借主負担である」と言ってきた。庭木には興味がなく、なくしてほしいくらいだが、剪定費用まで請求されるのはおかしいと思うのだが、家主の主張どおりに負担せざるを得ないのか?

→  契約書の「契約の目的」には、どのような記載がされているのでしょうか?
  「契約の目的」、つまり、借主が、家主から何を借りているのかをきちんと確認しなければなりません。
  もし、「庭」が契約の目的に入っているとすれば、借主は、善良なる管理者の注意義務を負っていることになりますが、プロの庭師に、借主の費用で剪定を頼まなければ注意義務違反であるとまでは言えないと思います。
  借主としては、「庭木に興味がない」からと言って、まったく手入れを怠るのであれば、善良なる管理者の注意義務違反に当たるでしょう。
 例えば、庭木の枝が、専用部分を越えて、隣地や公道にはみ出しているような場合、借主は、はみ出た部分の始末を行わなければならないのです。

  一方、「庭」が契約の目的に入っていなければ、庭を借りているわけではありませんので、当然のことながら、庭木の剪定費用などを支出する必要はありません。

(2)一戸建てを借りているが、庭木には興味がなく、邪魔になったので、自分で邪魔な部分を切っていたら、家主から「勝手に切ることは許さない。損害賠償してもらう」と言ってきた。家主の主張どおり、損害賠償に応じざるを得ないのか?

→  契約書の中で「庭」が契約の目的に入っている場合、借主は、善良なる管理者の注意義務がありますので、その範囲内で、敷地外に出た枝などを切り取ることは可能ですが、「邪魔になった」からと言って、家主に無断で切り取ることは許されないというべきでしょう。
  誰が考えても明らかに問題がないと思われる場合でなければ、家主に一報の上で、自分で切り落としてよいかどうかを確認すべきでしょう。
 その点で言えば、善良なる管理者の注意義務違反であると言えるでしょう。

  一方、借主が勝手に庭木を切ることを許さないというのであれば、家主としても、契約書や特約事項などで、「庭木を切る場合には、家主の了解を得ること」などの規定を設けていれば、トラブルにはならなかったと思いますので、家主としての落ち度もあると言えます。
  そこで、双方に一定の落ち度がありますので、借主だけが損害賠償責任を追及されるのは不当だといえますので、よほど無茶苦茶な剪定でなければ、家主への一定の謝罪で十分だと思います。
  実際上、家主としても、庭木を剪定したことによる「損害」を立証するのは困難ですし、自らの落ち度も考慮すれば、一方的な費用請求は不当というべきでしょう。


13.    家主からの退去通告

(1)家主が「自分が住むことになったので退去してほしい」と言ってきたが、従わざるを得ないのか?

→  いくつかのケースによって、対処の仕方が異なってきます。
  まず、「契約期間が定まっている通常の賃貸借契約」の場合です。
  この場合、家主側から入居者の退去を求めるには、借地借家法の第26条により、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に「契約更新しない」という通告をすることと、退去を求める「正当事由」が必要とされています。
  そこで、まず、家主がいつ退去を求める通知をしてきたかが問題となります。
  もし、家主からの通告が、「契約終了の1年前から6ヶ月前までの間」でなければ、「正当事由」をうんぬんする前に、そもそも、家主の主張自体が認められなくなります。
  なぜなら、「契約終了の1年前から6ヶ月前までの間」というのは、借地借家法上の強行規定であり、これに反するものは無効だからです。
  通告時期が適法に行われた場合は、「正当事由」の有無が問題となります。
  借地借家法の第28条によれば、「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」としています。
  もう少しわかりやすく言えば、家主が「自分で住む」と言っても、それだけで正当事由とはならず、借主が建物を必要とする事情との比較によって、家主の事情のほうに正当性があると判断される場合に限って、家主の主張が認められる場合とか、借主が建物をどのように使っているのか(別荘のようにしか使っていなければ、家主の正当事由が認められるでしょう)、家主が、財産上の給付、すなわち、立退き料をいくら支払うと言っているのかなどを、総合的に判断して、家主に正当事由があるかどうかを判定することになっているということです。
  そして、通常は、入居者保護のために、家主が必要とする事情よりも借主が必要とする事情のほうが認められやすいため、相当額の立退き料を支払って「正当事由を補完する」ことによって、立退きを認めるというのが一般的です。
  従って、単に、家主が「自分で住むから」というだけでは、立退き義務はないのです。
  次に、「契約期間を決めない通常の契約」の場合です。
  一般的には、契約の最初の時点から、契約期間を決めないという場合は少なく、当初、契約期間を決めていたのに、契約終了時に合意更新せず、結果的に、「法定更新」となった場合には、「契約期間を定めない契約」となってしまいますので、「契約期間を決めない通常の契約」というのは、「法定更新した場合の通常の契約の場合」も同じことです。
  このような場合には、家主から契約解除を求める場合には、6ヶ月間の猶予が必要になり、さらに、家主としての「正当事由」が求められるのです。
  三つ目は、「定期借家契約」(1年以上の契約期間)の場合です。
  定期借家契約の場合には、原則として、「正当事由」の有無は関係なく、家主から契約解除することができます。
  しかし、定期借家契約の場合でも、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に、「期間満了によって契約が終了する」という通知を行わないと、借主が住み続けることを拒否できないとされており、実際の通知を行ってから6ヵ月後に契約を終了させることができます。
  なお、1年未満の「定期借家契約」の場合には、家主からの通知そのものは必要ありませんが、家主からの契約期間中の途中解約は認められていません。

(2)契約書には、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」と記載されていたが、実際に、家主から「自分の息子夫婦が住むこととなったので、契約どおり退去してほしい」と言ってきた。契約書に記載されている以上、従わざるを得ないのか?

→  まず、契約内容が、「契約期間の定めがある通常の賃貸借契約」であるかどうかを確認してください。
 以下は、そういう場合の対処策です。そうでない場合には、前項を参照してください。

  契約書の中に、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」というような規定があったとしても、このような規定は、借地借家法上の強行規定に反するため、一切無効です。
  借地借家法では、家主から退去を求めるためには、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することと、家主の「正当事由」が必要とされています。
  この「正当事由」は、借主保護のために、家主が物件を必要とする事情と借主のそれとを比較して、家主が必要とする事情のほうに正当性がある場合のみ認められることになっており、通常は、借主の事情のほうが優先されます。
  しかも、家主自身ではなく、家主の家族が住むということになれば、「息子夫婦がその物件に住まざるを得ない」というような特殊な事情がなければ、家主としての正当性は認められないでしょう。
  このような場合には、家主は、通常、財産上の給付、すなわち、立退き料を支払うことで、「正当事由の補完」を行うことが必要です。
  そこで、家主は、相当額の立退き料、近隣の同等物件に引越するための諸費用(礼金、仲介手数料、保険料などの契約に必要な諸費用、引越代、それまで住んでいた物件との間に家賃の差額があれば、最初の契約更新までの家賃の差額分など)を支払うべきでしょう。
  入居者としては、「家主としての正当事由がないため、立退きを拒否する。どうしても、退去せよというのであれば、相当額の立退き料を支払え」という要求を行うことができます。

(3)家主から、「建物が古く取り壊すので退去してほしい」と言ってきた。家主は「退去してもらうための正当事由がある」と言っているが、正当事由があるので立退き料も出さないと言っている。泣く泣く退去するしかないのか?

→  まず、契約内容が、「契約期間の定めがある通常の賃貸借契約」であるかどうかを確認してください。
 以下は、そういう場合の対処策です。
 そうでない場合には、前々項を参照してください。

  建物が古くなって、入居者の退去を求めるための「正当事由」として認められるケースは非常にまれです。
  一般に、「正当事由」として認められるのは、建物の朽廃(きゅうはい)による場合がありますが、これは、天井が一部落ちたり、柱が傾いたりして、まともな生活ができないような状態ですので、現代においては、そういう状態の物件を賃借に出すケースもまれであり、借りる人もまずいないはずです。
  「朽廃」に当たらない場合でも、地震による倒壊の可能性が強い場合などは、「正当事由」として認められる可能性が高いといえます。
  それ以外には、まともに住むことができるようにするためには、大修繕が必要であるのに対して、大修繕しても、建物全体の使用期間が短い場合には、大修繕する費用倒れとなりますので、借主が大修繕を求めてきたのに家主として受け入れられないときは、家主から退去を求める正当事由があると判断されることもあります。
  しかし、いくら正当事由があるからと言って、立退き料を一切出さずに認められるというケースは少ないようです。
  従って、正当事由が認められる場合にも、一定額の立退き料を請求することが可能です。
  家主が立退き料の支払いを拒否する場合には、「立退き料が支払われるまで、立退きを拒否する」と言って、引き続き、居住することが必要でしょう。
  そうしないと、いったん、退去してからになると、家主としても、立退き料を支払う必然性を軽視するでしょうし、裁判所の判断としても、借主が物件を必要とする事情を軽く見る可能性もあると思います。

(4)家主が退去通告をしてきたが、「敷金を全額返却する代わりに立退き料は出さない」と言ってきた。従わざるを得ないのか?

→  家主から、入居者の退去を求める場合には、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することが前提で、かつ、「正当事由」が必要とされています。
  家主が退去を求める理由が定かではありませんが、一般に、立退き料なしに、正当事由がそのまま認められるケースはほとんどないようです。
  従って、「敷金の全額返金」が立退き料相当額となるかどうかが問題となりますが、そもそも、敷金は、借主の故意・過失・善良なる管理者の注意義務違反がなければ、全額返金が原則ですから、「敷金の全額返金」が特別な便宜でもなんでもないはずです。
 それを特別なことであるという認識自体、家主は、通常なら敷金を一切返すつもりがないということを心ならずも暴露してしまったというべきでしょう。

  いずれにしても、敷金は原則どおり返金してもらうのは当然として、家主の正当事由が認められない以上、退去する義務もありません。
  家主の退去に同意する場合にも、相当額の立退き料を支払うように要求したほうがよいでしょう。
  相当額の立退き料の算定には、いろいろな考え方がありますが、通常、同じ地域の同等物件に引越するための諸費用(礼金、仲介手数料、保険料、最初の更新期限までの家賃の差額分)に、事情によっては慰謝料がプラスアルファされます。

(5)分譲マンションの一室を賃貸で借りていましたが、家主が「売却するから退去してほしい」と言ってきました。契約期間はまだ残っているのですが、このような場合、引越し代や立退き料はもらえるものでしょうか?また、エアコンを取り付けましたのですが、置いていくか、買取してもらうことはできるのでしょうか?

→ 本来、契約期間を定めた契約であれば、契約期間中は契約解除することはできないのが原則です。
 家主側としては、契約期間終了の6ヶ月前までに通告し、かなり厳密な正当事由があれば、契約更新を拒絶することができるに過ぎないのです。
 その点からすれば、契約期間中に、家主から一方的に退去を求めることは、法的には許されません。
 いずれにしても、退去する義務は一切ありませんし、法的に言っても、退去させられることはありません。
 家主は、物件自体を売却することは自由にできますが、借主としては、家主が交代するにすぎないのです。
 したがって、家主は、入居者がいる状態で売却することが可能ですし、そういうケースはよくあることです。
 家主が、入居者がいる状態では売却しにくいと思うのであれば、契約期間が終了するのを待って売却するか(それでも退去には正当事由が必要です)、通常の立退き料に慰謝料を大幅にプラスして、入居者に対する立ち退き交渉を行うことになるでしょう。
 エアコンについては、家主の承諾を得て設置した場合には、造作買取請求権(借地借家法第33条)によって、家主に「時価」で買い取ってもらうことを請求することができますが、承諾を得ていなければ買い取り請求できず、逆に、原状回復義務によって取り外さなければならないことにもなります。

14.    物件の競売

(1)住んでいる物件の家主が破産し、物件が競売された。新しい家主から、「退去してほしい。立退き料は一切出さないし、敷金返還もない」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?

→  まず、契約前の重要事項説明書の記載内容を確認しましょう。
  重要事項説明書の「登記事項」をチェックするのですが、抵当権の設定登記がされていたかどうかが重要なポイントです。
  一般的には、家主は、賃貸物件の建設の際、金融機関からの融資を受けていることが多いので、抵当権設定登記がすでに終わっていると思いますが、この場合には、競売が行われた場合、競落人(新オーナー)に対抗できないのです。
 そして、2004年4月1日に民法の改正(「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」借主の立場から見れば「改悪」)が行われ、それ以前の扱いと大幅に変わったのです。
 どのように変わったかといえば、従来は、競落人が現れても、契約期間の残りの期間はそのまま住み続けることができ、しかも、退去時には競落人に対して、敷金の返還請求ができたのですが、民法改正後は、競落人に敷金は引き継がれることがなくなり、以前の家主に対してしか、敷金の返還請求ができなくなったのです。
 以前の家主は、物件を競売するくらいですから、敷金の返還請求をしても、敷金が返ってくるはずもありませんから、実質上、敷金を取り戻すこともできなくなったのです。
 その代わりとして、新たに制定されたのは、「明け渡し猶予制度」というもので、競落人から退去を求められても、6ヶ月間だけは居住することができるというものです。
 この問題については、さまざまなケースがありますので、次のような比較表を参考にしてください。
短期賃貸借制度
(2004年3月31日までに
締結された賃貸借に適用)
明渡猶予制度
(2004年4月1日以降の
新規の賃貸借に適用)
期間3年以内の
短期賃貸借
競売開始前の賃貸借
(競売開始前の更新)
による賃借期間が、
競落人の代金納付時
に残存
<競落後の居住>
 契約の残期間に限り可

<敷金返還>
 新しい家主に請求
<競落後の居住>
 6ヶ月間に限り可

<敷金返還>
 元の家主に請求
競売開始前の賃貸借
(競売開始前の更新)
による賃借期間が、
競落人の代金納付前
に満了
<競落後の居住>
 不可(直ちに立退き)

<敷金返還>
 元の家主に請求
期間3年を越える長期賃貸借 <競落後の居住>
 不可(直ちに立退き)

<敷金返還>
 元の家主に請求
 

(2)住んでいる物件の家主が倒産し、物件が競売された。新しい家主から、「あなたの契約は競売開始手続き(差押登記)後の契約なので短期賃貸借の保護もないので、即刻退去せよ」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?

→  まず、新しい家主が主張していることが事実かどうかを、登記簿によって確認しなければなりません。
  登記簿は、法務局(登記所)にあり、誰でも閲覧が可能ですので、きちんと確認が必要です。
  その上で、新しい家主が主張していたことが事実だった場合には、立退き料も一切なく、敷金さえ返還されないのです。
  あとは、契約した仲介業者に落ち度がなかったかどうかを確認することが必要です。
  仲介業者での重要事項説明書に、「差押登記」がなかったとすれば、仲介業者の説明義務違反ということになり、仲介業者に対して、損害賠償請求が可能です。


15.    家主の交代

(1)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「私は敷金を受け取っていないので、敷金を納めてほしい」と言ってきた。こういう場合、敷金を再度支払わなければならないのか?

→  通常の売買によって、家主が代わった場合には、新家主が敷金を受け取っていなくても、「売買価格に敷金相当額を含んでいる」と考えられていますし、前の家主の権利と義務関係をそのまま引き継ぐことになりますので、当然のことながら、敷金も引き継いでいるのです。
  従って、敷金を再度支払う必要は一切ありませんが、新しい家主に納得してもらえるようにうまく主張することが必要でしょう。

(2)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「契約書を変更し、家賃も値上げするので、同意できなければ退去してくれ」と言ってきた。こういう場合、新たな家主の主張に従わざるを得ないのか?

→  売買による家主の交代の場合、新しい家主は、前の家主の権利・義務関係をそのまま引き継ぐことになります。
  従って、契約書の内容や家賃は、入居者と前の家主が交わした約束であり、権利でもあり、義務でもあるわけですから、一方的な変更はできないはずです。
  新家主が納得しない場合も、退去する義務はありませんし、新家主が退去を求める「正当事由」もないので、退去通告は拒否できます。


16.    居住以外での使用

(1)居住用で借りている物件だが、今度独立することになり、自宅兼事務所として使用したいので管理会社に申し出たが、「事務所として使用するなら退去してもらう」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

→  入居目的が「居住専用」となっている場合に、物件内に、どの程度まで仕事を持ち込むことができるかという問題です。
  一般に、「居住専用」となっている物件を、「事務所」などとして使用することはできません。
  しかし、「事務所」と言ってもピンからキリまであり、すべての「事務所」が認められないかといえば、そんなことはないはずです。
  「事務所」に限らず、営業用途として問題になるのは、不特定多数が出入りすることで、他の入居者が安全快適に生活することに支障が出たり、入居者が駐車駐輪場を使用することに困難になったり、物件自体の傷み具合が激しくなることです。
  逆に言えば、「事務所」と言っても、「自宅兼事務所」程度であれば、不特定多数の人が出入りする頻度や数もそれほど多くないでしょうし、他の入居者が駐車駐輪場の使用に差し障るような問題がなければ、「家主との信頼関係が破壊された」とまではいえません。
  最近のように、いわゆるSOHOとして、自営業の登録場所として、便宜上、「事務所」と呼んでいるような場合の多くも、不特定多数が出入りするわけでもなく、他の入居者に迷惑をかけるようなこともないはずですから、居住専用であったとしても許されると考えられるでしょう。
  そこで、「事務所」としての実態について、管理会社および家主に説明し、「万が一、事務所としての使用によって、家主や他の入居者に迷惑をかけるようなことがあれば、事務所としての使用を中止する」などという念書を提出するなどして、理解を求めるようにしなければならないでしょう。
  それでも、管理会社や家主の理解が得られず、一方で、「事務所」としての使用を行う場合には、管理会社や家主との一悶着を覚悟しなければならず、強行すれば、裁判などに発展することになるかもしれません。

(2)居住用で借りている物件だが、室内で英会話教室を開くことになり、管理会社に申し出たところ、「業務としての利用はできない」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

→  「居住専用」で借りている場合には、原則として、営業用としての利用はできないことは、前項で述べたとおりです。
  しかし、「営業用」としての実態が問題です。
  英会話教室などを行う場合には、その頻度と人数がどの程度であるのかによって、問題が発生する可能性が小さければ、管理会社や家主を納得するように努めなければなりません。
  英会話を行う頻度が多く、延べ人数も数十名以上になるような場合には、居住専用の物件としては認められないでしょう。
  いくら、人数が少なく、頻度も少ないにもかかわらず、管理会社や家主が認めてくれない場合には、どのように対処するかは、相談者次第です。
  つまり、管理会社や家主に黙って英会話教室を開催するという選択を行った場合、管理会社や家主に発覚すれば、トラブルに発展する可能性が強いでしょう。
 ただし、そのような場合でも、家主から退去させられるかといえば、家主の主張が素直に認められる可能性はそれほど大きくなく、借主として、「家主が一切認めなかったために、やむなく家主に黙って英会話教室を開いていたが、実態としても問題ないはず」という主張が認められる可能性も大きいでしょう。

  あるいは、家主が認めないのであれば、家主の主張を受け入れて、英会話教室を開くことを諦めることになるでしょう。

(3)居住用で借りている物件だが、内職を行っていたところ、家主から、「居住用として貸しているのであって、仕事を持ち込むなら退去してもらう」と言われてしまった。家主の主張に従うしかないのか?

→  「居住専用」であっても、内職程度の業務であれば、当然のことながら、行うことが可能です。
 その理由は、前々項で述べた理由によります。

  従って、いくら家主といえども、家主の主張には無理がありますので、従う必要もありませんが、できるだけトラブルを防ぐために、「仕事」の実態を理解してもらえるように説得してみたほうがよいでしょう。

(4)アパートの隣の部屋が、突然事務所に改装されたが、元通りにさせることはできないか?

→通常、居住用の物件においては、契約書において、事務所などの営業用に使用することを禁じていることが多いと思います。 
 なぜなら、居住者以外の不特定多数の人が出入りするようになれば、防犯上の問題や騒音が発生したり、ゴミが散乱したり、入居者用の駐車・駐輪場に、部外者が駐車・駐輪するなどして、入居者が安全快適に生活するのが困難になるからです。
 そこでまず、契約書の中に、そういう規定がないかどうかを調べてください。賃貸借契約書は、いわば、家主が一方的に用意したものを、借主が承諾して契約を成立させているわけですから、作成した側である家主自身が契約違反をし、しかも、入居者への事前の同意も得ずに工事を行ったということは、「家主と借主との間の信頼関係が破壊された」ということになるでしょう。
 つまり、契約解除の正当事由として認められる可能性が強いということです。「用法違反」の記載があれば、家主側の契約違反となりますから、「家主側の一方的な契約違反によるやむを得ない退去」として、家主を訴えることができると思います。


17.    事故・いたずら

(1)上階からの水漏れで、壁のクロスを張り替えることになったが、家電製品にも水がかかり調子が悪くなった。上階の入居者の不始末であることははっきりしているので、上階の人に損害賠償請求したいのだが、可能か?

→  まず、水漏れが、上階のどの部分で発生していたのか?そして、上階の入居者に過失があるかどうかがポイントとなります。
  相談内容によれば、上階のどの部分で水漏れが発生していたのかが定かではありませんが、本来、水漏れがあってはならない浴室やキッチン、洗濯機パンのところで水漏れしていたような場合には、民法第715条の工作物責任に基づいた損害賠償請求が可能になるでしょう。
  工作物責任は、まずは入居者が責任を負うことになります。しかし、入居者が通常の使用ルールに従って使っていたような場合には家主が責任を負うこととなります。
 また、欠陥工事の可能性もあるので、そのような場合には、家主自身、工事業者に責任を取ってもらうことになるでしょう。

  上階の水漏れが、通常では、水漏れが考えられないような場所で発生していた場合には、上階の入居者の不始末である可能性が非常に高く、事実、「上階の入居者の不始末であることははっきりしている」とのことですので、上階の入居者に損害賠償請求が可能となります。(逆に言えば、上階の入居者以外には責任追及できません)

(2)上階からの水漏れで、壁のクロスを張り替えることになったが、家電製品にも水がかかり調子が悪くなった。しかし、原因がはっきりせず、上階の人の責任であるかどうかもはっきりしない。このような場合、誰に対して損害賠償請求することができるのか?それとも誰にも請求できないのか?

→  上階の水漏れが、どの場所で発生しているのかがはっきりせず、原因もはっきりしないという場合、「上階の人の責任である」と断定することはできないでしょう。
  従って、上階の人に対して、損害賠償請求をすることはできないでしょう。
  このような場合には、次の二つの考え方から、家主に損害を賠償してもらわざるを得ないでしょう。
  ひとつは、家主の使用収益させる義務から導かれる考え方として、家主に修繕義務があるとするものです。
  家主は、民法上、家賃という対価を得ている以上、入居者が安全快適に生活できるようにする義務がありますので、壁のクロスを張り替えないと安全快適な生活が送れませんし、家電製品の修繕も行う必要があるといえます。
  もうひとつの考え方は、分譲マンションの場合に導入されている考え方で、各専有部分に水漏れの原因がない場合、「水漏れの原因は共用部分にある」という推定を行うことで、管理組合の費用と責任で損害賠償を行うというものですが、この考え方から類推すれば、賃貸マンションにおいても、各入居者に水漏れの原因がない場合、「水漏れの原因は共用部分にある」という推定により、分譲マンションの管理組合に当たる家主の費用と責任で損害賠償を行うというものです。
  いずれの考え方にしても、家主に修繕してもらうしかありませんので、これらの考え方を説明の上、家主に修繕してもらえるように交渉しなければならないでしょう。

(3)上階からの水漏れで、壁のクロスを張り替えることになったが、家電製品にも水がかかり調子が悪くなった。水漏れは上階の浴室からのようだが、上階の入居者の言い分では「入居したてであり、ふつうに入浴していただけだ」とのこと。このような場合、誰に対して損害賠償請求することができるのか?それとも誰にも請求できないのか?

→  水漏れが上階の浴室から発生しているような場合、本来、浴室は防水構造となっているはずですので、原因はいくつかのケースが考えられますが、ケース別に対策を検討しなければなりません。
  まず、防水構造そのものに欠陥がある場合ですが、防水施工が不十分であるなど手抜き工事のために水漏れが発生したような場合には、当然のことながら、工事業者の責任です。
  しかし、入居者からみれば直接的なつながりがなく、入居者は、家主に責任を負ってもらわなければなりません。
 家主は、入居者から受けた損害賠償請求を工事業者に肩代わりさせればよいということになります。

  次に、上階の入居者の善良なる管理者の注意義務違反のケースです。
 具体的には、浴室の排水溝の清掃を怠っていたために、そこに髪の毛や石鹸カスがたまっていたのを放置していた場合に、排水溝から水があふれてしまい、水漏れになったというようなケースです。

  しかし、この相談内容では、上階の入居者は「入居したて」ということでしたので、原因の大半は前の入居者にあるといえますが、すでに退去してしまっていますので、家主に責任をとってもらうことになります。
  三つ目は、上階の入居者にも責任がない場合ですが、そのような場合には、家主が、民法上の使用収益させる義務から派生する義務として、家主に修繕義務があるといえるでしょう。
  いずれにしても、泣き寝入りする必要はありません。

(4)上階の火災により、消火の水で水浸しになってしまった。上階の人の責任なので、使えなくなった期間の宿泊代や使えなくなった家財道具類の損害賠償を求めたいのだが、可能か?

→  失火については、民法の特別法に「失火の責任に関する法律」という  ものがあります。
  この法律によれば、失火を出した人が「軽過失」である場合(故意や重大な過失でない場合)には、民法上の「不法行為責任」が適用されないという決まりがあるため、損害賠償責任を逃れることになっています。
  従って、上階の入居者が軽過失であった場合には、法律上、責任追及することができないとされているのです。
 一見理不尽な規定のようにも思えますが、逆の立場に立ってしまったときのことを考えれば、理解できるでしょう。
 失火により自分の財産を失ったばかりか、他人への賠償請求もすべて行う義務があるとすれば、一生立ち直れない可能性があるため、「軽い過失である場合には、他人への損害賠償責任については免除しよう」という考え方があるのです。

  しかし、上階の入居者の故意・重過失によって、失火となった場合には、損害賠償責任を逃れませんので、まずは、上階の入居者の過失の程度が問題となります。
 この点は、消防署や保険会社の判断を参考にすることができるでしょう。

  なお、上階の入居者は、失火責任法による損害を賠償しなくてもよい場合でも、家主との間には、賃貸借契約による原状回復義務がありますので、民法第415条の「債務不履行」(借りていた物件を原状回復して返還する義務が履行できない)によって損害賠償の責任が発生しますので、「軽過失の失火は責任を負わなくてよい」ということにはならないのです。
 責任の範囲が限定されるに過ぎないので、誤解しないようにしなければなりません。


(5)何者かによって玄関のドアに傷をつけられてしまったが、管理会社より,ドアの交換代を請求されてしまった.このような場合,借主が費用を負担しなければいけないのか?

→ 借主は、家主から物件を借りている以上、善良なる管理者の注意義務がありますが、玄関ドアの外部を傷つけられるというのは、注意のしようがありません。
 したがって、借主に責任はありません。
 責任がない以上、費用負担の義務はないというのが常識です。
 また、家主から物件を借りているといっても、それは、玄関ドアの内側部分に限定されているのが通常であり、玄関ドアの外側は、廊下と一緒で共用部分ですので、その管理責任は借主にありません。
 したがって、この点から言っても、借主に負担させるのはおかしなことです。 


18.    空き巣被害

(1)ピッキングによって空き巣に入られた。警察によれば、ピッキングに遭いやすいカギだということだったので、損害賠償を家主に求めたいが可能か?

→  家主には、民法上、家賃という対価を得ている以上、入居者に「使用収益させる義務」があり、そのために必要な修繕・対策を行わなければなりません。
  玄関カギについては、民法上の考え方からすれば、ピッキングに遭いにくいカギに変更すべきですが、家主が「ピッキングに遭いにくいカギに変更する義務を負うか?」どうかといえば、そこまでの義務を課すという考え方が主流になっているわけではありません。
 つまり、現状においては、家主は、鍵を付ける義務を負うことははっきりしていますが、ピッキングに遭いにくいカギへの変更などは、家主の努力義務にとどまっていると言えるのです。

  従って、「ピッキングに遭いやすいカギだった」と言っても、社会通念上、鍵として一般的に認められる機能を果たしている鍵であれば、その損害については、家主に請求することはできないでしょう。

(2)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいカギへの交換を求めたが、「自分の費用で代えるのならかまわない」と言われた。家主は費用を負担する義務はないのか?

→  前項の説明にあるように、家主は、ピッキングに遭いにくいカギへの変更義務まで課されているわけではありませんので、当然ながら、家主に費用負担を求めることはできません。
  家主は、「自分の費用で代えるのならかまわない」と言っているようですが、「借主の費用であってもカギ交換を認めない」という家主もいますので、そういう点から言えば、まだ、入居者の気持ちを理解しているほうだと思います。

(3)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいかぎへの交換を求めたが、「管理上、別のカギに変えるわけには行かないし、借主が費用負担しても代えることはできない」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

→  前々項で述べているように、家主には、ごくふつうに流通しているカギを付ける義務はありますが、ピッキングに遭いにくい特殊なカギに交換する義務を負うものではありません。
  そして、借主が負担するからと言って、借主が家主に無断で別のカギに交換することも許されていないのです。
  なぜなら、借主が家主に無断でカギを交換してもよいということになれば、物件管理がしにくくなりますし、火災などの非常事態にも、家主がカギを開けることができなくなり、家主の財産を自ら守ることにも支障が出てくるからです。
  しかし、ピッキングの被害が一度ならず発生したにもかかわらず、家主が依然としてカギの交換を認めないような場合には、家主として、入居者の「使用収益させる義務」を果たしていないという判断が成立する可能性が高く、従って、カギの交換を拒否したことによって発生した被害については、家主が負担すべきだということになるでしょう。

(4)窓ガラスを破られ空き巣に入られたが、幸いにも被害はなかった。しかし、家主に、窓ガラスの取替えを求めたら、「家主の過失で空き巣が入ったわけではないので、自分で負担せよ」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

→  家主には、家賃という対価を得ている以上、入居者が安全快適に生活できるようにする義務(使用収益させる義務)があります。
  空き巣によって窓ガラスが破られたわけですが、窓ガラスが破られたままに放置しておくことは、家主の使用収益させる義務を果たさないということになりますので、家主に責任がなくても、自然災害の場合と同じように、ガラスの取替えなどの修繕義務を負うのです。
  そこで、家主に、民法上の責任があることを納得してもらえるように交渉しなければなりませんが、家主が納得せず、費用を負担しないような場合には、借主が修繕費用を立て替えた上で、すぐに、家主に対して、「必要費償還請求権」(民法第608条1項)により、費用の請求を行ってください。

19  不動産業者のミスによるトラブル

(1)マンションと付属の駐車場を借りて、会社からの補助は賃料の7割を受けていましたが、再度の転勤により退去の手続きをしたところ、不動産会社のミスで駐車場代の請求をし忘れていたことが判明しました。しかし、勤務先へでは1年間分遡って補助申請することはできないと言われました。本来なら補助対象であった駐車場代を、1年間分まとめて満額支払うように要求されています。不動産会社のミスで、結果的には駐車場代分の補助を受けることができなくなったのですが、この場合でも満額支払う必要があるのでしょうか?

→ 「不動産会社のミス」と言いますが、毎月の支払いの中で、駐車場代が入っていなかったことを気づかなかったのですか?
 「気づかなかった」とすれば、ご相談者にも落ち度があります。なぜなら、駐車場を利用していた場合には、駐車場代を支払うのは自明のことであって、「請求されなかったからわからなかった」ということで責任逃れ(減免の要求)を行うことはできません。
 このような場合の商法による消滅時効は5年間ですので、法的には全額支払う義務があります。ただし、不動産業者の落ち度もあるわけですし、そのために、補助金を受けられなくなったことに対して、何らかの補償交渉を行うことは可能でしょう。
 なお、賃貸借契約自体は会社が行っており、借主としては、家賃の一部を負担するだけだったような場合には、本来の家賃(プラス駐車場代)の支払い義務者は会社(会社が法的な意味での借主です)ですので、会社の担当者自身が、「駐車場代が含まれていないことに気づかなかった」ことになります。
 このような場合だったとすれば、借主としては、補助金差し引き後の支払額に駐車代が含まれているかどうかは気づきにくかったと思われますので、会社側と不動産業者側のミスのほうが大きいでしょう。



20  共益費に関するトラブル

(1)電気代や水道料が高く、管理会社が手数料を上乗せ請求しているが、何とか適正な請求に変更してもらいたいのだが…。

→ 「価格の上乗せ」ですが、水道や電気の契約の当事者は家主(あるいは管理会社)となっているはずです。
 家主(あるいは管理会社)が、契約の当事者ですので、たとえば、行政や電気会社に苦情を言っても、「こちらは入居者と直接契約していないため無関係であり、家主に苦情を言ってくれ」ということになってしまいます。
 行政サイドから見れば、契約相手である家主(あるいは管理会社)が決まった料金を支払っている以上、違法でもなんでもないのです。
 つまり、このような問題は、たとえば、家族の中で公共料金をそれぞれ按分負担している金額の問題であり、家族の構成員の一人が「高い」と言ってきても、「それは家族内の問題だから家族内で話し合ってくれ」としか言えないということなのです。

 そこで、別の角度から、この問題を考えなければなりません。
 
消費者契約法という法律によれば、「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」としています。
 契約書の中で、水道代や電気代に上乗せ請求することが謳われている場合、消費者契約法に違反していないかどうかをみなければなりません。
 そして、個人が直接水道や電気の契約を行っていた場合に比較して、上乗せした金額がわずかである場合なら、「消費者契約法に反する」とは言えませんが、その開きが大きすぎる場合には、「消費者の利益を一方的に害しており、契約書の当該部分は無効である」と言えるでしょう。

 したがって、上乗せ後の金額の妥当性を見なければなりません。
 電力会社のホームページで、一般の個人が契約する電気料金と比較してください。
 一般に、電力会社と家主などとの契約は大口契約であり、小口の契約よりも割安となっていることが多いので、家主(あるいは管理会社)が得る差額は、さらに大きくなり、「手数料」と言える許容範囲を大幅に超えている場合にはボッタクリと言えるでしょう。
 つまり、こういう場合は、明らかに、消費者契約法に違反しているといえます。
 水道料金についても似たような問題があります。
 家主(あるいは管理会社)に対して、「消費者契約法に反するので、適正な水準まで値下げせよ」と迫ったほうがよいでしょう。
 ただし、「被害者」は他の入居者も同じ事なので、できれば、他の人たちと一緒に団体交渉したほうが迫力が出てくると思います。



21
 契約期間中の途中解約

(1)「学生専用マンション」に住んでいるが、契約途中で解約を申し入れたところ、家主から、「途中解約はできないので契約期間終了までの家賃を支払え」と言われた。確かに、契約書には、そのように記載されているが、これは消費者契約法に反する条項なので無効ではないか?

→ 「途中解約条項」のない契約そのものは有効ですので、家主の主張そのものが間違っているわけではありません。
 特に、「学生専用マンション」などの場合、契約期間の途中で解約されてしまうと、翌年の4月まで空室のままで置いておかなければならないケースが多いからです。
 したがって、その物件の所在地が、学校等の近隣にあり、学生専用マンションであるなら、家主の主張が不当ということは言えないのです。
 これが、一般社会人向きの物件であったとすれば、学生専用物件のようなもんだいは少ないため、消費者契約法に違反する可能性が強いと言えるでしょう。
 そこで、途中解約する理由を明確にし、その理由が、入居者のわがままに起因するものではなく、「親が失業し、学校そのものを退学せざるを得なくなった」というようなやむを得ない事情であるのであれば、家主に対して、やむを得ない事情を理解してもらうように交渉しなければならないでしょう。


(2)賃貸借契約に明記されている通りに退去を申し出たところ、「学生の入居時期からはずれているので、今すぐ退去するか損失となる半年分の家賃を支払え」と言われた。このような場合、家主の主張に従わざるを得ないのか?

→ 賃貸契約書に、契約期間中の途中解約条項があり、その時期が1ヶ月前であれば、その時期までに通告すれば、何のペナルティーもなく契約解除できます。
 もともと、契約期間を定めた賃貸借契約では、「途中解約条項」を定めるかどうかは任意なのです。
 もし、「途中解約条項」がなければ、契約期間が終わるまで家賃を支払う義務があります。
 一方、家主が任意規定である「途中解約条項」を契約書の中に入れれば、借主が承諾して契約が成立しているわけですし、もともと、契約書の内容を定めた家主は、自ら約束した事項を守るのは当然のことです。
 確かに、「学生の入居時期からズレている」という家主の主張には同情できる余地はありますが、だからといって、自ら決めた約束を反故にすることはできるわけがありません。
 したがって、仮に裁判を行ったとしても、負けるのは家主です。
 家主の無理な主張に従う義務はありません。



22 契約名義人の変更

(1)家賃補助の関係で、会社名義で賃貸マンションに入居していたが、家賃補助制度の廃止により、個人名義に変更しなければならなくなった。これに対し、不動産会社は、契約者変更になるため、敷金・礼金、契約時手数料(1ヶ月分)を要求してきた。不動産業者の言うとおりに支払う義務はあるか?

→ 不動産業者とは、管理会社のことでしょうか?それとも、最初に契約したときの仲介業者のことでしょうか?
 もともと、賃貸借契約に、「名義変更」というものは存在しません。
 賃貸借契約は、家主と借主との間で結ばれるものであり、「名義変更」と呼ばれているものは、実際には、当初の借主と家主との契約を解除し、新たに別の借主と家主が契約を結ぶことを指しています。
 別の借主との間で契約を結ぶかどうかは、家主の意思次第ですが、入居者が変わらず、家主が契約変更を同意しているのであれば、敷金精算も不要でしょう。
 最初の契約時点で、礼金・敷金を誰が負担したかが一つのポイントとなります。
 企業名義で契約していたとしても、実際に、礼金・敷金を負担したのが、入居者自身であった場合、あらためて、礼金・敷金を支払うのは不合理です。
 もともと、「礼金」は、家賃の前払いや入居の権利を保障する権利金などの性格をもつとされていますが、家主に、書類の作成以外に、何ら実質的な負担が増えるわけではないので、一度支払った礼金を再度徴収するというのは、二重払いということになります。
 一方、最初の契約時点で、企業が、礼金・敷金を負担していた場合には、少し事情が異なります。
 企業としては、敷金の精算が必要となりますので、あらためて、敷金を差し入れなければなりません。
 礼金については、家主との交渉次第ということになります。
 いずれにしても、契約相手は、不動産業者ではありません。
 家主ですので、家主と直接交渉し、書類書き換えを行ってもらうようにしてください。
 家主は、「すべて管理会社に任せているので…」という場合にも、家賃1か月分も請求される理不尽さを告げて、直接手続きできるように交渉したほうがよいでしょう。
 それでも、どうしても、「管理会社を通せ」という場合にも、書類作成費用として、判例などでも、実質的に認められるのは、1万円程度までですので、それ以上の請求は拒否してください。
 仮に、それらの交渉がすべてうまくいかない場合でも、入居者が同一である以上、そのまま居住し続けていれば、家主側に退去させられるほどの「正当事由」は認められず、したがって、借主の居住権が認められると思いますので、退去させられることはないでしょう。


23 他の入居者との家賃の違い

(1)住んでいる物件の他の部屋の入居者募集がが数千円安くなっていた。そこで、管理会社に、家賃減額をお願いしたら、「いやなら退去してもよい」と言われてしまった。何とか、家賃減額を勝ち取る方法はないか?

→ 借地借家法上、近傍同種の物件と比較して、家賃が不相当となった場合には、家主・借主のどちら側にも、賃料の増減請求権が認められています。
 したがって、法的には、家賃の値下げ交渉を行う権利がありますが、だからといって、素直に家賃値下げに応じてくれるかどうかは別問題です。
 管理会社が、「退去していい」と言っているとのことですが、本気でそのように言うはずはありません。
 なぜなら、日当たりが悪くなったことで退去者が続出しているのに、これ以上退去者を出すことは避けたいことだからです。
 退去者が出ても、「満室保証」などを行っていない、通常の管理委託契約であれば、管理会社自体の収入はダウンしませんが、家主の収入は明らかにダウンします。
 万一、家主の収入ダウンを促進するようなことを、管理会社が行えば、家主に対する背信行為となります。
 したがって、管理会社は、家賃値下げ要求を諦めさせるために、そのように主張しているだけだと思います。
 家賃値下げ交渉は、管理会社を相手にしても、あまり意味がありません。
 家主に対して行ったほうがよいでしょう。
 ただし、すぐに家主に対して交渉するよりも、管理会社に対して、「『退去してもかまわない』と言って、まともに話を聞いてくれないなら、家主と直接交渉し、管理会社の主張を家主に訴える」というように話せば、管理会社があわてて、家賃減額交渉に応じるようになるかもしれませんので、管理会社との交渉がうまくいかなくなったときに、家主と直接交渉するほうがよいかもしれません。



24   入居者の死亡

(1)先日借家で一人暮らしをしていた祖母が亡くなると大家さんの態度は急変し、敷金の返還はもちろん拒否し、遺族が1〜2年家賃を払い続けてほしい・・・と言うのだが、そこまでしないといけないのか?

→ 借家人が死亡した場合、一般の賃貸借契約(「高齢者の居住の安定確保に関する法律」による特別な契約は別)では、遺族が、借家人の権利義務関係をそのまま引き継ぐのが原則です。
 したがって、解約の手続きを行わなければ、いつまでも家賃を支払い続ける義務がある一方、敷金の返還請求権があります。
 住む必要がないと思いますので、相続権を持っている人全員の意思を代表して、相続人の一人が家主と交渉し、契約解除の手続きを行ったほうがよいでしょう。
 なお、当然ながら、無駄な家賃を支払い続ける義務は一切ありません。